変わった少女
使手ひなきはごく普通の家庭の幸せな少女。
両親からは可愛がられ妹には敬愛されていた。その割には自尊心があまり高くない謙虚なありようから周りにも愛される存在....?
そんな風に他人から評価される使手ひなきの人生はは小学6年生の時に一度終わりを告げた。いや、本当は最初から幸せなんかではなかったのかもしれない。
「ひなきちゃん、これやって〜!」
ひなきはそこまで気にしていなかったが、
その実ひなきは虐めのようなものに遭っていた。頭の良かったひなきは同級生から宿題を頼まれ謙虚で控えめであったためか全てを引き受けていた。掃除もサボりがちな面子のために昼休みを返上して隅々まで磨いていたし
教師から雑用も押し付けられていた。
でもそれを信頼だと受け取っていたから虐めだとは気づいていなかったのだ。
新島冴。
彼女は6年1組のボスだった。
人気者だった訳ではない。
逆に陰では嫌われてまでいたが幼くても人間、恐ろしい者には逆らわないのでクラスの殆ど全員が冴の支配下であった。
ひなきへ行われていた意地悪も全て冴の差し金で何故か目をつけられていたようだ。
「あら使手じゃない!給食の牛乳って不味いから貰っておいてくれなーい?」
ある日突然、ひなきは頭から牛乳を飲んだ。
冴にかけられた。
偉ぶって手駒を増やして虐めても気が付かないひなきに腹を立てたらしい。
「くれるの?ありがとう!」
そこまでしてもひなきは持ち前の天然も相まって気にしない。
「溢しちゃったの?あたしも拭くの手伝うよ!」
「溢したわけじゃっ!」
支配下のクラスメイトがクスクスと笑い声を立てる。
気の短い冴の怒りは早くもマックスに達し、ある恐ろしい策を思いついた、、。
なんてことない一日、学校が終わり家で友人と遊ぶ前の宿題をこなしている時のこと。
パリン パシャン
何かが割れる音とともにガラスがひなきの腕へ刺さった。
「何、?」
窓から下を見るとそこには顔を出したひなきを嘲笑う冴とその手下共がいる。
石を投げられた。
ひなきはこの時ようやく自分が冴から嫌われ虐められているのではという違和感に気がついた。
翌日も翌々日も何日も何日も続けられた。
元気だったひなきは今まで虐めに気がついていなかったこと、これからも卒業まで虐められることを考えると憂鬱で学校に行けなくなってしまった。
パリン・・・・
またガラスが割れる音、避ける自分。
「もうやめてくれるっ!?」
いい加減に腹を立てた母親がひなきの部屋の窓から顔を出して冴達を怒鳴りつけた。
冴達は不愉快そうな表情をして去って行く。
翌日、家庭は崩壊した。
母親に叱られた後でも冴達は懲りずにやって来た。今度のは本格的に残虐な行為だ。
窓から何かが投げつけられるのは同じ。
問題はその物質である。
「いやあぁぁ!」
たまたま姉の部屋にいた妹・ひなこの叫び声。学校から帰ってきたひなきが急いで部屋の扉を開けるとそこには目から血を流した
ひなことカラスの死骸が横たわっていた。
カラスの死骸は硬直しており、その生々しい見た目から仕事数時間経っていることが小学生のひなきからでも分かった。
「わざわざあたしを虐めるために..このカラスを、、、。酷すぎる。」
「ゔぅ...。」
目を怪我したひなこが唸る。
硬直したカラスが当たったのだ、当然傷は浅い筈がない。
「ひなこっ!!大丈夫ひなこ!ひなきは早く救急車を!」
緊迫した母の声がひなきの耳に纏わりついて腰が抜けた。足に力を入れても立ち上がれない。
「ならひなこを見てて!」
「ママ....あたし。あたしの、、」
呼吸に集中出来ない。
「ひなこ、、、、、。」
ひなこは失明した。
救急車を呼び遅れて処置が遅かったことも原因の一つらしい。
「ひなこ..ごめん。あたしが情けなかったせいで。」
「お姉ちゃん、わたしは平気。お姉ちゃんは悪くないよ。」
ただ当然のことながら生活は大変だ。
片目が見えない分を補ってもう片目の視力も低下していく。
家族に支えられながらも先の見えない暮らしに絶望したひなこは数ヶ月後に自殺した。
母は酷く心を病んだ。
ひなきが情けないせいでひなこが死んだと言い狂ったようにひなきに当たった。
そんな妻が嫌だったのか父が不倫しているところをひなきは発見した。
もう特に感情は湧いてこず、写真に撮って保存した。
いじめの件が明るみになった冴は学校に居ずらかったらしく不登校になり中学も私立へ通うことにしたらしい。誰からかも分からぬ情報を母が語った。ひなきは勿論着いていく。
ひなこの復讐を果たすために。
冴がやった方法で冴の心が壊れるまで痛ぶって残虐に殺してやる。と心に誓った。
その結果ひなきは古島似千花が邪魔をした時に写真を使って父のことを脅し車で轢き殺させるくらいに非情な性格に育った。
自分でも思う。
人はこんなに変わるものなのだと。
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