第8話・歩けば犬にも当たる
太腕ノ助「現場が見たい」
骨太田先生「何を言っているんだ君は。殺人現場だぞ」
太「分かってます。でも、見なけりゃ納得できません。サツは何かを見落としているはずです・・・」
骨「ああ。見落としているだろうな。だからと言って小学生に殺人現場を見せる訳にはいかん」
太「先生!マジでおなしゃす!!」
骨「君・・・何か知っているのか?」
太「まだはっきり分かってないが、ホシはつけてる。この目で確かめないと・・・」
骨「これが上にバレたらどうなるかは分かるよな?クビにされるぞ。唯一の先生が解雇されたら、この学校はどうなるんだ?」
太「絶対誰にも言いません!約束します!」
骨「それじゃあ足りんのよ・・・」
静かに見つめ合う太腕ノ助と骨太田先生。拳を握りしめて、頷く太腕ノ助。
太腕ノ助「・・・分かりました。もし先生がクビになったら・・・俺がこの学校を継ぎます」
骨太田「頼んだぞ、小僧・・・じゃあ、入れ。納得いくまで見るが良い。ドアの鍵は別に閉まっていないから、どうぞ」
太腕ノ助は教室に入る。死体はとっくに外へ運ばれており、代わりにチョーク・アウトラインが残っている。その隣に、血の跡がついたダンベルが落ちている。
太「これが筋次郎の姉ちゃんを殺した武器か・・・可哀想に。殺すならせめてちゃんと重たいやつで殺せ、このくそったれが。ん?ちょっとまった・・・ダンベルの裏側に何か書いてある。『出貝 肉里奈』!?どういうことだ!?自分のダンベルで殺されたってか!?いや、それだけはありえない。あの子の筋トレ道具を取ろうとしたらタダじゃ済まねぇ。殺す前に犯人が逆に殺されるだろ。おかしい・・・おかしすぎる!被害者にしか使えない武器をどうやって犯人が使った!?」
その時、窓からいかにも頭が良さそうな犬が飛び込んで教室に入る。内心驚きながらも、太腕ノ助は微動だにしない。犬は少年の前に座って、半笑いで彼を見つめる。
太「何だお前は?」
犬「ただの通りすがりのセント・バーナードさ」
太「用は何だ?」
犬「行き詰まっているようだから、助言をやろうと思ってな。それだけ」
太「そりゃどうも。じゃあ、その助言とやらを早く聞かせろ。途方に暮れてんだぜ、こっちは」
犬「途方に暮れて当然さ。生ぬるいんだよ、君の推理は」
太「なんだと!?」
犬「被害者にしか使えない武器をどうやって犯人が使った、だと?前提が間違えているんだよ」
太「と、いうと?」
犬「被害者が犯人と別人だと、どうして決めつける?」
太「おい、お前、それってまさか・・・まさか!」
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