第23話

“白装束は婚姻の証ですわ。”


うん。明らかにおかしい。

確かに、彼女の匂い、外見そして魔力に惹かれるがその考えはおかしい。


「いかがですか?吸いたいですか?」


どうぞと言わんばかりに首筋を見せ、欲情的な胸を晒し出す。


「いいんですよ。」


彼女は耳元まで近づいて来た。


「ここは誰も見ていませんよ。」


その言葉は僕の理性を破壊するのに十分だった。


名も知らない彼女の首筋に牙を立て齧り付き血を吸った。その分僕から特殊な分泌液を送り返す。それにより相手は血を吸われることに快楽を覚え発情する。

これは、相手が血を吸われることで自分に依存させ効率良く血を吸えるようにするためだ。


「やっぱり、いい匂いがする。」


彼女から甘い匂いがしてそそられる。


「先ほど、シャワーを浴びたので匂いはしないはずですが。」


自分の匂いをかぎ確かめたが分からないという風な顔をした。


「そんなことより、」


僕は、彼女のあそこに手を伸ばした。


「ねぇ。しよっ!」


手に付いた蜜を彼女に見せた。


その後は、彼女のメイドが来るまで性交が続いた。


一日中したおかげか時間間隔が狂ってしまった。

家に着くなりエリア母様に会いに行った。


「どうしたのシオン?」


今日、あの娘の地を吸ったときにいい匂いがしいたことについて質問した。


「それは、単純に相性がいいのよ。ルナートとしたときにもならなかったかしら?」


思い出そうとしたが、記憶になかった。


「もしかしたら、嗅ぎすぎて分からなくなってしまったのかしら。」


あっけらかんと返した。


「あともう一ついえることとしたら、相手が純度の高い魔力を持っていることも関係あるそうよ。いい女性を手に入れたわね。どこの娘?」


そういえば、名前も聞いていなかった。


「あなたね。」


何やっているんだという感じに言ってきた。

確かにその通りだ。


「いいわ。明日にでも聞いて来なさい。さぁ。ご飯にするわ。」


ーーーーーー


そういえば、最近授業をちゃんと受けてない気がする。というか授業にならない。


「ルナ姉様。」


「どうしたの?シオン。」


「あの、ここ僕の教室だよね。」


「そうよ。」


「それで、ルナ姉様の授業ではないよね。」


「そうよ。」


「なんでいるの?」


僕が、吸血鬼としての能力が開花して以来たくさんの女性を食べてきた。そんでもって現在進行形でクラスメイトを食べているわけだが。


「シオンがちゃんと食べた女を血の眷属にしているか確認しに来ているのよ。」


「なるほど。」


「それにしても奇麗に眷属にしているわね。」


「そうでしょ。眷属にした娘は僕のお気に入りだからね。」


「それで、少ないのね。納得したわ。これで、お母様に報告出来るわ。」


「それで、」


どうやら食べてる数に対して眷属が少ないことを訝しんで調査を依頼されたみたいだ。


「いいわ。それと、この認識疎外の魔法いいわね。」


授業中でも出来るように認識疎外の魔法を覚えたのはいいのだが困ったことにやりすぎてしまう。


「それと、その子はどうするの?」


「無しかな。だって、ルナ姉様が来てから僕はルナ姉様に興奮しちゃったから。」


「そう。じゃあ報告しておくわね。」


ルナ姉様は、教室をいつも通りに出て行った。

しかし僕は、すぐに分かった。ルナ姉様が冷静にしていたが僕の言葉ですぐに発情してしまったことが。一見では分からないが、彼女の魔力が少し荒ぶったのと匂いが女の甘い香りがした。


その日の学校が終わりイーリス姉様が教室に迎えに来た。


「今からエレナ母様のところに行くけど付いてくる?」


あれからエレナ様はエリカ様の監視の元軟禁されている。


「そうだね。エリカ様のところにも顔を出しに行くか。」


僕は、イーリス姉様に付いて行った。


「イーリスにシオンも良く来たね。」


エリカ様は明らかに疲れた表情で僕たちを迎えた。


「どうしたのですか、そんなに疲れた表情で。」


「これでも忙しい身でね。たまたまその忙しくさが重なっただけだよ。」


長いため息をしつつも毅然とした態度を示した。


「では、向かおうか。」


彼女の案内の元とある部屋までやってきた。


「私たち姉妹は今回のことつまりはあなたシオンの実質的な誘拐を重く見たわ。そこで、エリナには少しきつい罰を与えたわ。」


部屋に入るとそこは結界で封じられた場所になっていた。


「この結界はエリスさんですね。」


「そうよ。彼女の結界はやっぱり一流よね。」


僕は、彼女の名前を聞いた時背筋が凍るような感覚に陥った。


「そういえば、彼女はシオンにとって天敵よね。」


「なので、その言葉はあまり。」


エリスさんはエリサ様の娘で従姉妹に当たる。彼女は結界を得意としておりさらにその見た目から魔女の一族の中でも聖母と呼ばれていたりする。彼女の雰囲気と魔力の質によって彼女の虜になってしまう。僕たちとは違い彼女の魅力で相手を虜にする天然の人たらしだ。


「ここが結界の入り口だからイーリスあなただけで行きなさい。シオンには悪いけど。」


今のエリナ様はあまりいい状態とは言えないので僕が入って彼女の前に現れることで起こることを危惧してのことだろう。


「私とシオンは隣室で見学ね。」


僕とエリカ様は隣の部屋から中の様子を見ていた。


エリナ様は見た目はあまり変わっていなかった。外を見ながらお茶をしていたようだ。


中の声は聞こえないが、イーリス義姉様の声はエリナ様に届いていないようだった。


「彼女でもダメか。」


「ダメとは?」


「エリア姉さんがやりすぎちゃったのよ。かなりご立腹だったようで。」


同情の余地はありそうとは言えないな。


僕たちはそのまま執務室まで戻った。


「今のエリナはあんな感じなのよ。今回イーリスに来てもらったけどダメだったからこれでは誰がやってもダメそうね。」


イリーナ義姉様もあってみたようだけどダメだったみたいだ。


「あとは、シオンだけなのだけど。やっぱりね。」


「私でも反対だわ。」


イーリス義姉様も反対した。


「まぁ。いいわ。シオンには頼みたいことがあるのよ。」


一枚の紙を渡してきた。今時珍しく紙媒体だ。

重要なときはこうして紙媒体の方が機密性が高いとしてごく稀に使われる。


「これは!」


見た時、自分の目を疑った。


「どれどれ?」


イーリス義姉様が覗き込んだ。


「まさか!」


「シオンあなたの魔法行使能力が上がっているのよ。それに耐えうる魔具が無いのよ。これはエリサにも確認済みよ。」


「なるほど。」


「低レベルの魔法ならあなたの持つ銃型のものでも出来るけど、大型のものなら流石に持っておいた方がいいわ。」


正直なくても行使ができるが効率が段違いでいいので持って置く分には損がない。


「そこで、明日とあるところに赴いて欲しいのよ。」


僕は、意図が全く分からなかった。












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