第18話

僕の、胸を一つの弾丸が貫いた。そして、すぐに二発目の弾丸を頭を貫いた。


「シオン」


誰かが呼ぶ声が聞こえる。

意識が薄れゆく中、懐かしい鐘の音が聞こえた。



ーーーー


私たちはアレスから目を離せなかった。本能的に目を逸らした瞬間に殺されることがわかった。

なので、シオンの名前を呼ぶことしかできなかった。


「ルナ姉さん。やばいよ。このままじゃ。」


イーリスも気付いているみたいだ。


「もういいか。目的も果たせた。」


アレスが逃亡をしようとした。


「みすみすあなたを逃すとでも。」


「おや、そのような、」


そこへ言葉を区切るように言葉を発した。


「イーリス。」


私は、イーリスを静止するように見つめた。


「やめなさい。」


そして、アレスを向いて


「ここは、見逃してもらうわ。次会った時には必ず仕留めますわ。」


アレスは、そのまま消えた。正直、存在しないものとして思いたい。


「シオン!」


イーリスは倒れているシオンに駆け寄った。

彼女は、シオンを揺らした。


「目を覚ましてよ。」


私にはわかる。彼は“完全に“死んでいる。彼を対象に取れない。つまり精神が無いことがわかる。


「イーリス。諦めて。」


私は、そっとイーリスを抱きしめた。


そうして私たちは、自分たちの家に帰宅した。


その後、大量の死者を出し今尚大量の怨念の溜まり場となっている戦場と都市は今回の戦争の激しさを物語っている。


私たちは、大切なものを失ったと同時に魔女が戦力として強すぎる力を持つ存在として人々に尊敬と畏怖を与えた。


実際になくても噂というのは尾鰭が付くものだ。


「それで、その見た目が治らなくなったと。」


私は、ヴァンパイアとしてこの赤い目と鋭い犬歯、サキュバスとして一々仕草が妖艶になるのとさらに女性らしい見た目になった。


「本当にあなたたちが羨ましいわ。」


「そうね。私とイーリスは、普通に人間だからね。」


イリーナとイーリスは純粋に人間なのだ。


「それにしても。お母様、出てこないわね。」


「これで、1ヶ月よ。いくら私たちが魔女だからといって。」


正直、体力的にも精神的にもキツくなってくる。

イリーナは、立ち上がり、扉をノックした。


「お母様、そろそろ出てきてくれませんか?」


特に反応は無かった。


「しょうがないわね。イーリス。」


「やるのか?」


「えぇ。致し方なしよ。」


イーリスはその拳を振り上げ扉を粉砕した。


「お母様!」


部屋は汚くはなっていなかったが、ベットの上はひどいことになっていた。


「何?あなたたち。」


髪がみだれ、目は赤くなっている。


「流石に、外に出てください。心配です。」


「いいのよ。もうこの世界に価値は無いのです。」


私たちにその言葉を言い返すことは出来なかった。


「無様なことですね。」


そこには、私たちとは犬猿の中な従姉妹がいた。


ーーーーーーーー


「やっと帰ってきたわ。私の子供。」


水槽にいる1人の人を見つめるその瞳は慈愛に満ちていた。


「エリア様。お気持ちは重中承知ですが、そろそろお時間です。」


「そうですか。では、行ってきますね。」


その人は振り向き出口へと向かった。


「マリ。娘たちは?」


「すでに、準備完了とのことです。」


「ありがとう。では、始めましょう。私たちの…」


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