第16話

夜明けとともに作戦が遂行された。


「ルナ姉様。アゲハからの情報!」


僕は、アゲハからデバイスに送られてきたデータをルナ姉様に見せた。


「やはり、予想通りだったわけね。」


そう、敵の死体を調べてみるとやはりというべきかわが軍の兵だった。さすがに着用している服などはバレないようにボロボロにしていた。


「ほぼ確定ですね。」


「はい。それと、都市内部に生きている者はいませんでした。」


どこかに潜伏しているのか。もしくはすでに移動しているということか。


「それは考えにくいわ。」


ルナ姉さん。心を読まないでください。


「その必要はないわ。顔を見れば分かるわ。」


読んでいるよね。ねぇ。


「どうかしら。」


こんなことをしている場合ではない。目の前のことに集中しないと。


「僕は、アレスを見つける。ルナ姉様は、このまま正面突破で!」


「そのつもりよ。イーリスとイリーナがここまで消耗させてくれたからね!」


姉様は、一直線に敵に突っ込んでいき通った道には、死体しか残らなかった。


僕は、アゲハとともにアレスの居場所の特定を急いだ。

流石に当てずっぽうでは無限の中なら探さないとならないのでまずは最終目撃の場所、都市の内部に潜入する。


「アゲハ。潜入できる?」


「余裕です。セキュリティもザラで、有って無いようなものです。」


「誘導頼むよ!」


「お任せください。」


僕は、アゲハの誘導に従って悠々と都市内部に潜入出来た。

確かに、おかしい。ここまでトラップという感じのものが無かった。

見張も歩いている人形のみ。


「シオン様。もう少し先の方が人形が歩いている数が多いのでそちらの方が怪しいです。」


「分かった。行ってみよう。」


少し進むと、前に役所があったみたいなところだ。そして、人形の数も指数関数で増えた。


「どうですか、シオン様。何か見えますか?」


「正直、あの中に魔力のつながりが見えるだけですね。」


やはり、ここまで来ても生きている生物を見ることができなかった。


僕たちは、目の前の役所に入って行った。この前にも怪しいところに入ってみたが、そこはもぬけの殻だった。全く何も無かったわけでは無かった。どうやらこの都市内部で拠点を変えているみたいだ。魔力の繋がりという欠点を理解しているのだろう。その繋がりを辿れる方法や感知できる魔法師がいればこうやって辿ってこられる。そしてされた場合も考えてダミーも置いているのだろう。先ほど人形を操る人形もいた。あれは時限式で動いていた。これは始まりと終わりの時間を指定して行う方法で普通魔法師は感覚で行っていることを術式で行う高等技術だ。


「ここもハズレでしょうか?」


「いや、ここには何かあるはず。他のところより魔力の繋がりが濃くなっている。」


僕たちは、屋上から潜入を試みた。


その頃、姉様たちはというと。


「イリーナ。おかしくない?」


「えぇ。イーリス。先ほどから、敵の動きがおかしいです。」


「シオンくんが何かしたと思いたいが、」


「明らかに、これは術者に何かあったと考えるべきです。」


先ほどから人形の動きが何かを行おうとしている。ただ、何がしたいのかが分からない。


「どうやら、私たちに分からないことが起きているみたいですね。」


「ルナ姉さん。」


「この機に乗じて都市に向けて正面突破しましょう。」


「「はい!」」





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