第14話

この戦いはのちに粛清の日と呼ばれ、僕たち家族が魔女だということを再認識するのに十分なまでの死傷者をだした。


「まさか、彼女達がこんなにやるなんてね。」


「でも、彼を守れているのは事実です。」


戦場を見ていた二人の女性は気配を消して戦況を見守っていた。


「ばれたわ。移動するわ。」


「本当にいい腕してるわ。」


二人の女性は闇に消えた。


そこへ、一人の女性が現れた。


「やはりここに誰かいましたか。この気配は懐かしい気がしますが、彼女たちがこんなところにいるはずがありません。」


アゲハはそのまま闇へと消えた。


ーーーーーーー


僕は、とにかく魔力供給を行い前へ出ることを自重し姉さんたちの補佐を行った。

それだけではなく自分自身でも無意識で行なっている魔力探索を意識的に行なっている。


アレスなる人物が出てくる可能性があるからだ。もしくは、奇襲ということに対して牽制が取れるからだ。


僕が、少し意識を違うところに移した瞬間にルナ姉様が近寄ってきた。


「シオン。一旦休憩。」


確かに、このまま戦ってもいいがどうも数が多いので姉様たちの体力がもたなくなる。


「そうだね。このままだとジリ貧だね。一度下がろう。」


僕は、ルナ姉様と一緒に前線基地まで下った。当然の如くイーリス姉様は体力お化けなので未だに前線で戦っている。


「イリーナ姉様。お疲れ様です。」


コップに入った水を手渡した。


「生き返るわ。イーリスに追従するのも疲れるわ。」


「えぇ。僕も補足するのがいつも遅れます。」


イリーナ姉様と少しの談笑していると、そこに部隊の隊長と話していたルナ姉様が戻ってきた。


「イリーナ。少し変だと思わない?」


「変?そうね。上から見ていたけど何も思わなかったわ。」


「そう。」


ルナ姉様は何か引っかかるようだ。


「アレスが出て来ないのも引っかかる。」


僕は、素朴な疑問を呟いた。


「確かに、そうね。もしかして、私たちの予測がかなり的外れということかしら。」


僕たちは、アレスは何か強力な魔法ないしはそれに準ずる戦闘能力を秘めている可能性を考えた。なので僕は、意識的に索敵をしていた。


「少し考えを直す必要がありそう。」


そこへイーリス姉様が帰ってきた。


「なかなか敵が減らなくて切っても切っても増えてくる。なかなか突破するのが苦労したわ。」


僕はそこで一つの可能性を思いついたが憶測で混乱を避けるためそっと秘めた。


十分の休息の後また戦場を駆けた。


姉様たちは一段と気合が入ったのか指数関数のように死者の数を増やした。


僕は、咄嗟に先ほど考えたことを確かめるべく敵の死者を調べた。


“見えないものを見るための目。それがこの目である。“


いつもは見えすぎる情報の前に脳の処理が追いつかなくなるのでコンタクトすることにした。


「これは、」


僕は、死者から伸びる魔力の繋がりを見た。これでほぼ確信に変わった。


それを伝えるべく姉様たちのもとへ駆けた。





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