第7話
「それでは戦勝と夏休みが入ったことを祝して乾杯!」
とりあえず、隣国のレステ帝国との戦争に参加した生徒もいたのでそれの戦勝にパーティーを学院側が開いたようだ。参加は自由なので行かなくてもいいのだが。まぁ、生徒としては明日からの長期休暇の方が嬉しいようだ。
「コーネル様。紹介してくださいませ!」
複数の女子がコーネル嬢に絡んでる。姉様達に紹介して欲しいようだ。
既に2つ名があるのに今回大暴れして英雄って言われて大変なことだ。
そんで今学院でパーティが開かれている。やはり女子が多いな。魔法を使える人はどちらかというと女子の方が多い。魔力を持つが魔法が使えない人は沢山いる。それとは逆に魔法を使う方法もある。魔力さえあれば。僕が使ったように。
「シオンさん。お疲れ様です。」
飲み物を渡し話しかけてきた。誰だこいつ?
「そう。見つめないでくださらないかしら。発情しちゃうではないかしら。」
何を言っているんだこいつ。待て。この感じ。
「アゲハ。ここで何をやっているんだ?」
こいつは、バタフライの首領であるアゲハだ。普通こんなところにはいないはずなのだが。
「その感じだと気付いていなかったみたいですね。入学式の時からずっといましたのに。」
どうやら本当に言ってみるみたいだ。
「それで、用は何?」
「あら冷たいのですね?」
「そうではない。用がなければ話しかけてこないだろ。」
「それもそうですね。では、お伝えしますね。まだ、確定情報ではないのですが、シオン様の身柄が狙われでおいでです。」
「そうか。姉様達の足枷になってしまうか。」
「はい。残念のことながら。」
「もしかして、今回の戦争も?」
「いえ。今回の戦争はまた別件でございます。」
どうやら彼女の顔を見る限り相当本当のようだ。
「分かった。注意しておくよ。」
「ありがとうございます。」
彼女は一呼吸を置き。
「少し、辛気臭くなってしまいましたね。真ん中の方でダンスしていますよ。」
彼女なりの励ましなのだろう。その心遣いに感謝しよう。
「一緒に踊りませんか?」
こうして、一夜限りの楽しい時間は過ぎて行った。
夏休みに入り家でゆっくりしているとイーリス姉様がリビングルームに入ってきてあることを言い放った。
「海行きたい!」
恐ろしいことを言った。この姉達のことを思えばこれが恐ろしいことは明白なことだ。
これから、ショッピングという地獄が待っている。
「そういえば、ルナ姉。水着あるの?」
「無いわ。」
「なら買いに行かないとね。イリーナは?」
「私もないわ。」
「そういうことで、シオン!私たちの水着を選んで貰うわ!」
そういうことだ。
正直に言って姉様達と来ると周りから注目の的になってしまうので少しじゃないくらい歩き難い。
「シオン。ついて来なさい!」
どうやらお目当てのお店に到着したようだ。ここは、都市郊外にあるショッピングモールである。ここに来たら欲しいものは大体揃うというとても便利なところだ。
イーリス姉様は、上機嫌だ。よくこのショッピングモールに友達と買い物に来るようだ。毎回大変なのだろう。当然、友人の方なのだが。
「いらっしゃいませ!イーリス様。今回はどのようなご用件で?」
明らかに責任者と呼べるような人が出てきた。ここは姉様の御用達なのだろうか?
「今日は、お姉ちゃんと私の水着を選びに来たの。何か無い?」
「そうですね。今年はこのようなものが流行っているのですが、いかがでしょうか?」
それは明らかに際どいものだった。正直隠せられないのではと思うぐらいの布面積しかなかった。
なぜこれが流行っているんだ。やはりトレンドというものは予測するのが難しいというのはよく分かる。
そのあとは姉様達の遊び道具となった。取っ替え引っ替え着替え全てに感想を言わなければならない。これを苦痛と言わずしてなんというのか。
こうして天国と地獄は紙一重・表裏一体ということが分かる1日になった。
と言いたいのだが、なぜなのだ!翌日、朝からまたあのショッピングモールに来ている。
おかしいだろ。私もそう思う。だが、これは事実だ。受け止めなければならない。
「今日は、シオンの服を買うわ!」
つまりそういうことである。今日の自分にさようなら。明日の自分よ、お前が来る日に幸があらんことを。
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