第5話
どうしようもなく恋しい。愛に苦しみ愛に溺れ愛に悲しみ愛に喜ぶ。
僕は愛に飢えているのかもしれない。毎日愛を囁き囁かられる。
それはしょうがないかもしれない。それが、僕だからだ。
だから、僕は耐えられない。この時間が。そうだ!そうすればよかったんだ!
「シオン様。流石に授業受けてください!」
コーネル嬢に怒られた。それもそのはず、なぜなら上の空だからだ。
今姉様達がレステ帝国で暴れている。そう、暴れているのだ。
なんか、レステ帝国が宣戦布告したらしい。なぜかそれが姉様達の逆鱗に触れたらしい。何かあったのだろうか。バタフライにも口止めしている。
開戦してから2ヶ月したのだが、良く耐えているものだ。
やはり手伝いに行くべきだろうか。
今考えていることをコーネル嬢に話をした。
「やめた方がいいです。今回の戦争はやはり何か裏がありそうです。」
「だよね。」
そう。前の対戦の時も正直おかしい。あの先輩はどうやら精神に干渉された形跡があった。やはりどこからか干渉を受けているみたいだ。
不愉快だな。
「もう少ししたら帰って来ますよ。」
「そうだな。」
校内放送が流れ僕に呼び出しがかかった。それも、学院長に呼び出されるという非常に面倒なやつだ。
「行くか。」
「待ってください。私も行きます。」
彼女は特にようはないだろうに。
「未だに校舎内で迷子になる人を1人で行かせるわけにはいきません。」
どうやら迷子になることを信用してくれているみたいだ。嘆かわしい。自慢ではないが方向音痴であることは自負している。
「それで、エレナ師匠。なんのようですか?」
ここは、学院の敷地の一箇所の総合研究実験場だ。基本的にはここで実験を行うことが許されている場所だ。
「君の力を借りたくてね。呼び出したまでだよ。」
どうやら本格的なんかの研究の手伝いをやらされるみたいだ。
「さて始めよう!」
どうも悪寒しかしないのは、気乗りしないからだろうか。
「さて今回の実験は魔光子の実験だ。」
魔光子とは魔法師が魔法を発動する時に漏れ出る光を指すことだ。これはどう言う振る舞いをするのかが分からない。正直に言うとこれがなんなのかすら分からない。魔力を感知できる人でも見える人がいれば見えない人もいる。さらに、目に見えても機械的にはそこには何もないのだ。
そこで今回の実験では、アプローチの方法を変えるみたいだ。前回までは魔法師が魔法を発動し見える時にそこで何か計測器に検知できないかやっていたみたいだ。しかし今回は、魔法陣を使う。魔法陣に接触するとわかる仕組みになるみたいだ。この魔法陣すごいな。考えられるパターンの状況を全て網羅している。頑張りが垣間見られる。
そこで、自分の役割なのだが。
「シオン。君には君の魔法で観測してほしいんだ。」
本当に困った人だ。この魔法はおいそれと使えないのに。
「分かりました。ただ、出来る確証はありませんよ。」
「大丈夫。信じているから。」
僕は、自身の魔力が活性化するのが分かる。
人間は魔法を使い始めて魔力に適応するように進化してきた。それが顕著に現れたのは見た目がかなり変わった。僕の場合はエルフに見える。これは人によってそれぞれ違う。バンパイアだったり、龍人であったりと色々ある。まだ、未解明な部分であるため研究が行われている。
そして、この姿になることである能力を使うことができる。それを僕は“翡翠眼”と呼んでいる。薄い緑色の瞳をしているのでそう呼んでいる。これは、万物を見ることができる。
師匠はこの力で魔光子を観測しようとしているみたいだ。
そうして実験が始まった。
魔法陣を展開する。これにより、魔法の発動となったためここで見ることができるはずだ。
その時であった。僕には見えたんだ。あの光の放射をそれと同時に現れた高エネルギーの放射が確認できた。
そう、魔光子以外のものも観測出来た。後にこれはぜーゲン光とされた。この光はエレナ師匠にとって人生を一変させたものだったのだろう。報告したときに目を輝かせこれからのことを考えているようだった。しかしながらあれは不思議な感覚であった。あの感覚は形容し難い感覚であった。全身の魔力が一気に加速していく感覚であった。心地良くもあり恐ろしくもあった。自分が自分でなくなる感じであった。
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