第4話
ステージに上がった瞬間その高揚感が体を襲った。
「やぁ。シオン君。君にはここで無様に散ってもらうよ。」
うんうん。挑発してくる。この人は爽やかイケメン君と言ったところだ。無駄にプライド高いんだよな。
「聞いているかい。ここで無様に這いつくばれば見逃そう。」
まさしく、貴族って感じだな。少々、行き過ぎな気もするがこんなもんだろう。
「これは失礼しました。1年のシオンと申します。是非とも先輩の華麗な魔法を見せて頂ければ幸いです。」
「ほーう。言うではないか。」
どうやら、挑発に乗らなかったのがご立腹のようだ。沸点が低いらしい。
そこに審判が試合開始の合図をするようだ。
この試合は一瞬で決着がついた。それもそのはずだ。現代魔法師の弱点はその感覚にある。そこを奪って仕舞えばどちらが勝つなんて明白だ。
僕は試合の合図とともに相手の魔法を打つ予備動作に入ったのを見逃さなかった。足を少し横にずらそうとした。そして、腕を僕に伸ばして魔法を打つつもりのようだ。だが惜しい。それでは僕を倒せない。僕は動かす足に向かって慣性方向に対してベクトル増加を行った。つまりだ。体制が崩れるのだ。そこにすかさず、目を覆うように拘束魔法であるバインドを使った。これにより視覚で知覚するのは難しいのと、魔法を近くで感じるので僕の魔力を感じるのが難しい。そして僕はミストバレットこれは空気中の水蒸気を高速に回転させて貫通力を上げ射出する魔法だ。
審判は僕の勝利として宣言してくれた。正直5つも要らなかったな。
「シオン君。おめでとう。どうだった?」
「疲れた。もうやりたくない。今回は相手が上から目線だったからよかったものも今度もう一回やれと言われてもできそうにないね。」
僕は、正直こう言うのは苦手だ。なぜなら、縛りプレイされている気分だ。
そうこうしているうちに僕は帰宅することになった。
帰宅すると夕食をなぜか姉さんたちが総出で作っていた。いつの間に姉さんたちは料理できるようになったのだろうか?しかし、こう言うのも悪くない。ささやかではあるものの小さい幸せを感じていた。
一方その頃ヤーブ伯爵嫡男はというと。
簡潔に言おう。荒れていた。
「ふざけるな!あんな小癪な真似をしやがって!」
自室で暴れ散らかしていた。メイドはもちろんのこと執事も両親も近づかないでいた。
『まぁ。こんなものでしょう。』
その様子を外から見ている者がいた。
『彼の実力は見れませんでした。しかし、ただものではありませんね。そろそろここから離れなければ見つかりそうですね。』
そうして、そこから気配は消えた。
「やはりレステ帝国のようですね。」
「はい。彼の者はレステ帝国の魔法の癖がありました。」
どうやら激しい動きがあるようだ。
翌日、バタフライからの調査結果をまとめてもらった資料を見ていた。
「ほぼ決まりのようですね。」
「はい。レステ帝国では今次期皇帝の争いでかなり荒れていますから。」
イーリスは柄に無く分析しているようだ。
「イリーナ。とりあえず第3王子派閥を買収しておいて。」
「はい。先ほどアゲハに命じておきました。」
「手が早いわ。」
感心しているとイーリスが話しかけてきた。
「ルナ姉。私の感だけど戦争仕掛けてくるよ。」
「イーリス。それは、本当?」
彼女の目には本当と言う文字が見えた気がした。
寝室の方から起きたような音がした。
「おはよう。姉様達。」
「「「おはよう!シオン君」」」
これが姉達の日常だ。
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