第2話

僕たちは、この広い学園の中からお目当ての部屋を見つけ出した。

これの部屋の中には現代魔術の祖が鎮座している。あの人のことだからまた書類もとい論文に埋もれて寝ているだろう。


「エレナ学園長。お客様が見えてますよ。」


「ん?あぁ。レイナさんお茶を3人分頼むよ。」


「わかりました。」


そそくさとレイナと呼ばれた人物は学園長室から隣の部屋の給湯室に向かった。


「やぁ。久しぶりだね。アルト。イリーナ。イーリス。」


「えぇ。お久しぶりです。エレナ師匠。」


「シオン君はやはり変わらないね。」


「まぁ。それが魔法ですから。」


そう、これは僕自身の問題だ。


「エレナ学長。なぜ、シオンを学院に入学させたのですか?」


この場の空気がイーリス姉様の一声で氷ついた。


「イーリス。ちょっと。」


「イリーナ。黙りなさい!」


イーリス姉様は元々この学院に入学することを否定していた。この学院は魔法学院だ。魔法師を育成することを目的としている。なのに、魔法師でない僕を入学することで起こることを危惧してイーリス姉様はこの入学を否定した。


「やはり、シオン君は愛されているね。」


うん。我ながら姉様達に愛されていることを感じる。その分僕も愛しているけどね。


「はぐらかさないでください。」


「まさか、そんなつもりはないよ。シオンには手伝って貰おうと思っていたんだけどその間ついでに学院生活でもどう?と思ってね。」


どうやら何かさせるつもりのようだ。


「そんなことでですか?」


「それだけだが。」


どうやら本気らしい。というかこの人はいつもこんな感じだ。


「いつもいつもそうだわ。そうやっていつもシオンを!今回ばかりは流石に我慢ならないわ!」


どうやら相当怒っている見たいだ。彼女を嗜めたいが、今回は難しい。


「イーリス姉様。ほどほどにしてください。姉様の熱気のせいで少々暑いです。」


「す、すまない。」


「それで、師匠。何をするんですか?」


「新しい扉を開くのだよ。」



翌朝、生徒会室がある建物の一室を借りて住んでいるのだがなぜか同じベットにルナ姉様が寝ていた。うん、たまに入っては来るのだが今回はなぜここにいるのかだ。現在ルナ姉様は魔法師協会で働いているはずと言っても同じく研究ばかりしているのだが。


少しの思案の後、ルナ姉様が目を覚ました。


「シオン君。おはよう。」


「ルナ姉様。おはよう御座います。」


「朝ごはんはパンでいい。」


そう言って、二度寝に入ったルナ姉様。少々どころか滅茶苦茶朝に弱い。と言っても寝起きが弱いと言った方が正しい。


なぜここにいるのかは、朝ごはんの時でいいだろう。とりあえず、朝ごはんの準備だ。


今日は確か校内見学があるようなきがする。少し早く行こうと思うがどうせ時間ギリギリになると思う。そうじゃなくてもルナ姉様がいるんだ。こればかりは避けようがない。


「シオン君。おはよう。シャワー借りるわ。」


姉様が起きてきた。うん。目のやり場に困る。それでも姉様の体は禁断の果実なのだ。なので服を着てくれないと困る。


「早く浴びてきてください。」


「うん。分かった。それと、これからここで授業することになったから。」


「はぁ!?」


姉様のいきなりの言葉に僕は驚きを隠せず、引き留めてしまった。


「ん?どうしたの?シャワー浴びたいのだけど。」


「いや、ごめん。少し驚いて。入ってきていいよ。」


ちょっと待って姉さんちょっと前よりすごく妖艶になった。男か?しかしながら、今までに恋人のこの字すら見えなかったような人だ。分からない。ただ一つ言えることはなぜか非常に体が重いというのと魔力が減っているということだ。


「シオンいる?」


イリーナ姉様だ。何かあったのだろうか?


「シオン。ルナ姉様いる?」


「今、シャワー浴びている。」


「やっぱり。」


どうやら頭を抱えている。やはり、想定外だったようだ。


「今日聞かされてね。少し驚いて居そうなところに走ってきたのよ。」


相当焦っていたようだ。グラスに水を入れて渡した。


「ありがとう。助かったわ。」


「ご飯食べてく?」


「えぇ。いただくわ。」


というわけで1人分いや2人分余分に用意しておく必要がありそうだ。

そんなこんなでシャワーを浴びたルナ姉様とイリーナ姉様といつの間にか席にいるイーリス姉様と一緒にご飯を食べることになった。

こうやって食べるのは久しぶりな気がする。姉様達が学院に言ってからはこうやって食べることもなかったから。

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