気づいたらお姉ちゃんたちが国を乗っ取っていました。

やーしん

第1話

鮮血を浴びた少女は戦場で舞い踊る。その隣には1人の少年がいた。町で出会えば仲のいい姉弟にしか見えないだろう。ただここは戦場だ。異様に見える。彼女らはこの戦場を牛耳っている。彼女たちが歩けばそこには血の池が出来る。その惨状を見た者達は彼女のことをこう言った“鮮血の魔女”と。


「だってさ。ルナ姉さん。」


「シオン。こっち手伝って。」


「わかったよ。」


姉さんは魔法の技術的可能性について実験を行っている。そう、飛行魔法の応用でどのくらい速く・高く出来るかが鍵となっている。それをこの魔法道具(魔具)で補助しようとしている。万人でも使えるレベルまで落としたいらしい。


そんなこんなで6年の月日が経った。


そして僕はこの魔法学院に入学することが決まった。この魔法学院は魔法師の育成と魔法の社会的貢献と魔法師の社会的地位の向上を目指している。

さらに魔法は貴族階級の特権でもある。魔法が使えるから貴族であるというわけでもない。魔法を使いこの国に貢献した者に与えられている。と言っても伯爵以下はあまり力は無い。自分達の領地を運営と魔法師の育成に力を入れている。厄介な者は公爵家になる。この国には3つの公爵家がある。そいつらは一癖も二癖もある。そんで入学式早々目の前にいる人物はその一癖も二癖もある人の中でも一際癖がある公爵家のご令嬢が目の前にいる。


「ご機嫌よう。シオンさん。」


どうやらこの蛇睨みされた状態では逃げられそうになさそう。これが所謂交渉で上を取るために育て上げたスキルなのであろう。


「お久しぶりです。コーネル嬢。」


彼女は、コーネル・ミラーレン。ミラーレン公爵家の長女にあたる人だ。次期公爵家の当主になる。


「コーネル嬢。何かご用でしょうか?」


「そうね。あなたのお姉様方に釘を刺されていまして。なので、そのご挨拶に来たのですわ。」


どうやら何か事付けされているらしい。


「それで学院では私がサポートいたしますので、何かありましたら話しかけて下されば幸いです。」


ある意味心強い味方だ。


「それじゃあ、一つお願いしてもいい?」


「はい、何なりと。」


いちいち所作が綺麗で迷いがなくお嬢様ということがわかる。


「生徒会室ってどこ?」


コーネル嬢は思ってもいないことだったようで、少し反応が遅れていた。

彼女は本当に何も知らないですねという言っていた。この時、彼女はシオンのお姉様方が言っていたことが身に沁みて分かった。


生徒会室は、この学院の敷地になる建物一棟丸々が生徒会室として使用されている。

無駄が多いが、貴族が多いので自分の権威などを示したいがためにこうなって行った。


「ここですわ。」


「ありがとう。ついでに姉様に挨拶してくる?」


「そうさせて貰いますわ。」


イリーナ姉様が現生徒会会長となっている。姉様から帰る時に寄ってと言われているのでこうして寄ったわけだ。

僕は、生徒会執務室の扉をノックした。


「どうぞ。」


イリーナ姉様は、まだ書類を整理しているようだった。


「シオンね。ちょっと座って待っていてくれるかしら。」


どうやらコーネル嬢には気付いてないようだった。それほどまでに忙しいみたいだ。


この部屋に備えついている、キッチンでお湯を沸かしていた。


「イリーナ姉様は紅茶でいい?」


「お願いするわ。」


「コーネル嬢も紅茶でいい?」


「ええ。いえ、手伝いますわ。」


「いいよ。そこに座って待っていて。」


このキッチは、魔力で動く魔導式コンロのようだ。このタイプが一番使いやすい。今、電力式のコンロが流行っているが少々使い難い。


沸いたら茶葉が入ったポットに注ぐ。タイマーをセットして好みの時間が経ったらティーカップに注ぐ。


「イリーナ姉様。置いておきますね。」


「えぇ。助かるわ。」


「コーネル嬢もどうぞ。」


「ありがとうございます。」


紅茶と共に茶菓子を置いておいた。多分これは姉様の秘蔵のものだな。姉様の好きなものしかなかった。


半刻が過ぎ姉様は書類の整理を終えた。


「あら、コーネルさんもいらしゃっていたの。」


「はい。お邪魔しております。」


「ゆっくりしていってね。」


「ありがとうございます。」


「それでイリーナ姉様。学園長に会いに行こうと思うのですが。」


姉様は快く受け入れた。


「コーネルさん。今日はありがとう。今日はもう大丈よ。」


コーネル嬢は少し怯えている。


「は、はい!」


イリーナ姉様から少し黒い部分が見えたように見えたが気のせいだと思いたい。

姉様、あまり怖がらせないでください。


コーネル嬢は足早に帰宅した。お礼を言いたかったが、明日でもいいだろう。


僕たちはその足で向かったが途中で、イーリス姉様に会った。イーリス姉様はイリーナ姉様と双子だ。正直見た目ではどっちがどっちだか分からない。しかし、魔力の雰囲気が少しではあるが違う。イーリス姉様は、温かい魔力で落ち着くのだが、一方でイリーナ姉様は冷たく突き刺さる魔力をしている。

しかし、2人は双子の魔女と呼ばれるくらい強い。イーリス姉様は強化と回復を得意としていて、イーリス姉様は近距離での戦闘を得意としている。

強化魔法はその人の魔力量と緻密さ、そして被術者との相性がある。そのため、数こそはいるもののあまり活躍はしない。そして近年の研究によって武器に魔力を乗せその通りの効果を発動するというのが活発になり始めた。


これから会う学園長はそういう現代魔法の礎を築いた人だ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る