第5話

「Aさん、ヒデさんとの面会の日時はいつにしましょうか? 」

 那智と悠人ゆうとと名乗る半グレは、彼らがいつも話している、繁華街の裏路地にいた。

 悠人は半グレ組織の幹部の一人であった。悠人はAとのパイプ役として、よく那智と接触していた。

「面会の日時はこちらから指定していいのか? というか、指定させていただきたいのだが」

 那智は裏路地に、全身黒色の服装で立っていた。周囲のあかりは少なく、遠巻きからでは那智の姿は見えない様子であった。

 対して悠人の服装は奇抜である。周りからもよく目立つ。

「そうですね。できるだけAさんの希望を通すように努力するとヒデさんは話していました」

「そうか」

 那智は落ち着いた様子で自分の手帳を取り出した。今日は三月二日。これからの予定を確認していく。これでもとしての顔は売れている。たくさんのクライアントを抱えている那智も、時間はどちらかといえばない。

「そうだな……」

 那智は、深く一呼吸してから言った。

「三月二十七日を希望する」

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