第4話

「お前さん、俺たちの細かい素性とかは聞かないでいてくれるんか? 」

 見るからにカタギの人間ではない風貌の男が、碧斗の事務所にいた。

「そうですね……。言いたくないのであれば、いちいち聞いたりはしませんが」

「そいつはありがたいな」

 竜崎りゅうざきと名乗った半グレ風の男は、ポケットからタバコとライターを取り出した。

「ここ、吸ってもいいんか? 」

 碧斗は少し渋い顔してから

「できれば遠慮していただきたいですね」とやんわり断りを入れた。

「そうかいな。ま、嫌ならしょうがないわな」

 意外と素直な態度に碧斗は、少し驚きを隠せなかった。

「それで、依頼というのは……」

 碧斗は早速本題に入ろうとした。おそらく、な仕事ではないだろうというのが、碧斗の見方であった。

 「いや、仕事っちゅうんは、ちょっとした物の運搬をしてほしいだけやねん」

 運搬の仕事は時に来る。事情はさまざまだが、例えば引越しの作業の手伝いをしてほしいとか。一人暮らしのせいもあってか業者を雇うほどの量でもない時は、何でも屋の方が費用を抑えられることが多分にあるからだ。

 しかし、今回のはおそらく違法な物の運搬であろうというのが、碧斗の直観であった。この直観はおそらく正しい。正しいが、わざわざ断ることもない。なぜなら碧斗は何を運んでいるのかというていなのだから。このような仕事内容は別段初めてではない。このような稼業をしていれば、大なり小なり、これに似たようなことを経験する。

「荷物の運搬ですね。わかりました。その荷物のサイズと重さ、それと送り先の住所と希望到着日時をこちらの紙に記入してください」

 用紙にはこのように記入されていた。


 希望到着日時:3月27日

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