第3話 炎上(の裏の裏)

私は炎上させた。

誰を?

たまたま正体を知ってしまった配信者を、だ。

初めて好きになった人がたまたま顔を晒さないまま配信者として活動しており、私がたまたまその人をストーキングしていてそれを知ってしまい、偶然超絶可愛い美少女と手を繋いでいるのを見てしまい、それを持っていた高性能カメラで撮影してしまっただけだ。

私が悪かったのはその子が暫く別の地域で親と暮らしていた彼の妹であることを知らなかったこと、

偶然撮影した写真、彼が配信者だと分かる証拠まで写り込んでしまったものを自分のチャンネルにあげてしまったことだ。

幸い、彼の顔は映らなかった。

妹さんの顔はバッチリ写ってしまっていたけれど…


…しかし、数日後に凄まじい炎上に繋がってしまったことを知った。

妹さんも奇跡的なことに大人気のインフルエンサーとして活動中だったのだ。

私は焦った。

彼からしたら私はただのクラスメイトなのだ。

何か異物混入した物を渡したり、怯えさせてはいないが、これがバレれば完全に嫌われてしまう。

彼とその妹さんはまだ何もしていない。

彼は状況把握すらできていないだろう。

ここまで何が起こっているのかわかっているのに私は保身のために何もできない。

事態はどんどん泥沼化していき、さも本当のことのように話されるデマで混乱を極めている。

私も配信して謝るべきだろう。

今回のは何かの間違いだったかもしれませんと異常に増えたフォロワーに説明するのだ。

説明しても、わかって貰えるかはわからない。

白状できず、私は炎上させてしまっている。

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