浄玻璃の鏡

すべての扉は形が違い、一つだけしか開かれない

路面電車が隙間なく道を轢いていきました

真っ白く透けた肌の、カーテンはともなり

陽だまりと抱き寄せ、逆光のカゲは見て取れない

はだかの白馬が南瓜を牽くような、

プリンセスストーリーだと信じて


モノクロのしょげた、花火の燃え滓を束ねられては

ドライフラワーだって知っていたけれど、恋をした

この唇は誰からも、離れて、残り香だけの

私におちた陽射しである


主は匙を投げ、ティーカップに着地するとき

自愛にも似た乱読は遂行される

背くらべみたいなもの。本当の顔など取り合わない

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