魔獣

ジリジリジリと目覚まし音が鳴る。止めようと、顔までかぶっていた毛布が落ちないようにしながら目覚ましのボタンを押す。カーテンの隙間からオレンジ色の明かりが見え、寝ぼけ眼の俺もまぶしくて目を覆う。

起きるの早くないかと思われるのも無理はない。これが俺の日常だ。朝は、6時に起き、身支度を整え、カフェのアルバイトに行くのだ。

2限に何かを履修登録した覚えもあるけどそれは忘れ、今はお金を稼ぐために生きてる。

いや、大学生なんだからもっと遊べよっていうかもしれないが、俺は気づいちまったことがあるんだよな。

世の中金がなくちゃ生きていけないってこと。奨学金とかそうゆうので悩んでっからとかじゃなくて金が欲しくてたまらねーんだ。まあ、現実を考えると奨学金もあっけどよ。


そういえば、なんか俺変だな。妙に女の子が欲しくてたまらない。金貯めているのも風俗嬢で一番包容力、奉仕の精神抜群のマナちゃんに会うためではあるんだけど、いつもと違う。

俺はマナちゃん一筋なのになんでなんでなんでなんだ。

となりにロングスカートの女の人が通っただけなのに、すごくいい匂いがして。もっと嗅ぎたいし、もっと触れたいし

〇〇したい・・・



「どうしたんですか」

同じバイト先の高校生のミクが声をかけてきた。

ふわっと桜の香りが俺の鼻に入ってくる。

春を感じる花の香りが

「先輩、鼻血出てますよ。大丈夫ですか」

ミクは、ポケットからきれいなハンカチを取り出し俺に差し出す。そのハンカチからも桜の香りがする。

「ああ、ありがとう。洗って返すからさ」

俺は申し訳なさそうにそのハンカチを使う。

「そんな気にしないでください。気持ちだけで十分ですよ。私先、行きますね」

ミクはそう言ってすぐに行ってしまった。


ミクは行方不明の友達の妹でしっかり者の末っ子。あいつの話に聞くと学校ではすごくモテるらしくてファンクラブがあるとかないとからしい。容姿も悪くはないし美人なほうではありそうだけど、俺の好みではないんだよな。俺は、首が細くて、遊んでいるのか遊んでいないのかわからなく子の大きな胸にうずくまって乳首をかじって

き〇したい・・・


やっとカフェについたと思ったら、いつもより客が多い。今日は忙しいかもと絶望するところだが、今日の俺は違った。むしろ、こんなにいい匂いが漂っているのだからな。サラリーマンの人もいるがそれは除いてだがな。

女の匂いってそこまでいい匂いだったのか?一人しか知らなかったから全然わからなかった。まるで天国のようだ。でも、ちょっと待てよ。このカウンター席の女性客とミクの匂いは全然違うな。なんというか女性客は何かを隠すかのように香水が強い。隣の病んでいる感じの女性客は女の匂いよりむしろ男の匂いがする。また隣の黒い服を着た女性客はそそる匂いをしている。表し方がわからないけどすごくいい匂いだ。

そして、ミクは穢れを知らない美しい桜の匂い

食べたいぐらいだ・・・


バイトしてから4時間がたった。途中で休憩に入って水分をとったけど喉の渇きが収まらない。おまけに扉から日差しがまぶしすぎて灰になってしまいそうだ。いつもの半分しかバイトしてないのに。かといって上がりたいのかといわれると上がりたくはない。マナちゃんのために。マナちゃんのために。俺はこっそり嬢のHPを開いてチェックする。あ、今日の17時から出勤だ。予約は何件か入っているのだろうか。人気嬢だからな。埋まってるかもしれない。まあ、23時までって書いてあるしバイト終わったら電話すれば間に合うだろう。



だいたい14時ごろだろうか。あと一時間でバイト終わりだというのに頭の中は大好きなマナちゃんのことではなく、今隣にいるミクのことばかりだ。おい、友達の妹だぞ。しかも一応未成年。行方不明ではあるけど友達の妹には手なんて出せない。なんだ。なんなんだ。この思いは。この感情は。この欲望は。





「いったっ」

ミクが声を上げた。隣を見ると右の指が赤くなっていた。どうやら割引券を補充したときに切ってしまったらしい。


あかい。あかい。あかい。あかい。赤い。赤い。紅い。紅い・

ち。ち。血。血。血。血。血・・・

俺の脳内が吸え、食べろ。楽になるぞ。早く。さあ早く。その処女の生き血を吸え・と言っている。

血流が脈打ち、呼吸も荒く、今にもミクにかぶりつくかのようなそんな勢いで俺はまだ理性と戦っている。

「先輩。どうしたんですか。息荒いですよ。それに目も充血してて。まるで・・・」


俺は、ミクを休憩室まで連れ込み、扉に鍵をかけ押し倒した。あと少しで血がたれそうなところで俺は舐めた。背中には大きくはないけど感じる胸の感触と頭の近くで吹く息。俺はもう止まらなくなっていた。

「先輩、みなさん心配してますよ。戻りましょう?」

そんなミクの言葉など俺の理性には響かない。ミクの口を右手で押さえ、左首を舐める。

「ひゃ」

変な声がより一層欲をかき立たせる。俺は、いつの間にか生え伸びていた牙でミクの細くて白い何の穢れていない首を噛む。どこかむにっとして血のうまさとともにその感触が癖になっていく

「いたい・・・」

ミクも最初は痛がっていたが、徐々に小さい声でかわいらしい声を出すようになった。

吸血も快感になるんだな。もう一人の俺がそう笑った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る