希望の業火に焼かれて
鈴乱
第1話
きっとそれは幻のように
儚くてあっけなくて
あったかどうかも分からない
そんな代物で
誰かの言葉にすぐに揺らいで消えそうになる
そんな頼りない妄想で
だけど、確かに僕の希望だった。
捨てられない、希望だった。
それが胸で騒げば騒ぐほど、
僕は苦しくなって逃げ出したくなる
もともとそんなに強くない
そんなに大層なものじゃない
希望も、それを抱えた僕自身も
全てを投げ出したい、そんな日常の中で
小さな光にすがってる自分がいる
自分を焦がし、時に苦しみを与えるそれを
どうしても手放せずにいるんだ
希望の業火は、動けずにいる僕の身を焼き、
それが苦しいのに手放すことすらできない
いつかその火が僕を燃やし尽くして
ただの灰になる日が来るかもしれない
そうなって、僕はどう思うのだろう
ぼやけた視界に、光を背にした自分が見える
あれはきっと、未来を生きてる僕なんだろう
『バカだなぁ』
声が聞こえた。
優しい声だった。
『まだ何も始まっちゃいないんだよ』
希望の業火に焼かれて 鈴乱 @sorazome
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