第71話 閑話休題《ということで》再び《リトライウィズ》MMO
突然だが、MMOをする。理由?分かり切ったことを…!!
前にヒュドラに辛酸舐められたリベンジだよ!!!!!
あれからちまちまやっているがゼンゼン攻略できないでやんの!??
ネットではある程度名が通っているマッパーだからなまじ攻略失敗すると
プゲラwwwww所詮マッパーにわか乙wwwwwとか叩かれんだよ!!!
今回はハンター業でおろそかにしていた『ワンダーグラウンド追加コンテンツ
ヒュドラ強襲』をまたリトライしたいと再び兜の緒を締めた次第です
そう、俺には埋めなきゃいけない
そしてこの追加コンテンツの次が更新される噂もあり危機感を抱いていた次第でござる
「俺としたことが、マッパーの自覚を忘れていた…!!」
《捨てちゃいなさいそんなみみっちいプライド》
「やだねー!!!俺の唯一の取り柄だもん捨てられませーん!!!」
《ええ…っ》
何かの突っ込み待ちか?みたいな当惑した表情をしているが俺には真意がわからない
そしてキャシーの言葉に同調するわけにはいかない。いかにくだらない無駄な作業(自覚はある)と揶揄られようとも俺はやめられないしマッパーの意地がある。
なぜ俺がマップ埋めに固執しているか。その理由は特にない。
なんかみんながやらなさそうだからやってみたら思いのほか面白くて今に至る。
やだよね。有名になる気もないくせに変に注目されてのぼせあがった後続けたせいでプレッシャーがその都度募って使命感になるのは。つまり自業自得ですお疲れさまでした!!
有名税と受け取っておこう。
弓野さんの同様の期待を背負わされて今も健在と思えば俺も負けてられない。男の意地だ!!
そして前回の徹を踏むこともない!レベル20だからほぼスキル使えないのを忘れずにやっていく。使える…というか使えるのが致死を癒す病―ダメージオブランゲージ―だけだから自傷してHP1にして一撃必殺しかないが…
それはヤだな。今ならプレイヤースキルというかハンターのスキルが上がっているので相手の攻撃を読んでノーダメでヒュドラを倒せるだろう。だがヤダ
それってなんかつまんなくない?戦略性も何もないじゃね?
いやスキルひとつだけで戦略性もへったくれもないんだけどさ。唯一それに頼るしかないんだけどさ。やっぱサシでやり合うんだからレベル20で斬った張ったしたほうが楽しいと思うんだ。
俺の持論であるが『人生は死んだら終わりだが、ゲームは死んでから始まり』だと考える
自転車をこぐために何度も失敗する様にゲームは失敗ありきで楽しいもので死んで覚えるのがゲームならではの醍醐味だと俺は思う。
ゲームやるなら目指すはノーコンクリアだろJKとか思われるがそれはそれでかっこいいけどゲームは楽しんで地道にクリアするのが俺にとって楽しいやり方だ
それに、ゲームだからマジの死はこない。
いやマジの死をおくったことは突っ込まないで…!
ともかくハンターと違ってマジモンの死はこない。ならばいくらでも死んで学べるのならそれを行使するに越したことはない。最初始めたのは死に覚えだったなと少し過去を振り返りながら
「久々の、《ダイブ》!」
ヘッドギアを装着しベッドへ
*********
久々のダイブ。そして苦汁を舐めさせられたヒュドラのステージマップ
マッパー機能で埋まっているのはヒュドラ周辺以外でそのほかはばっちり埋まっている。
という訳であとはヒュドラをぶっ潰す(私怨マシマシ)だけで終わるのだ
後はどうあのヤローを叩き潰す(殺意たっぷり)かだが攻撃の動きはある程度読めており
蛇行による突進や毒牙の咬撃尻尾の振り回しにトグロを捲いて回転し解き放つ範囲攻撃や
蛇なのに口から火炎攻撃なのはまあいいとして
凶悪なのは目を見たら石になる石化の魔眼だ。アレが一番怖い。
だが今の俺ならば目をつむって戦闘は可能だろう。
攻撃もレベル差はあれど多少のダメージを受けても死なない設計をしてある。
まあ無論石化したら即死コースなんですけどね
つまり目を見ずに戦えば勝てるということだ。多少のダメージは覚悟するしその為に致死を癒す病―ダメージオブランゲージ―を使ってしまうのは仕方ないよね!
などといざという時の免罪符を心に添えておきながら
ファストトラベルでショートカット。ヒュドラのいる区域までワープする
転移による着地と共に進んで遠方から発見と共に物陰に隠れる。
ダンジョン内ということもあり遮蔽物が多く今は石柱に身を潜め自身のスペックとステータスを思い返しラグの調整と自身の装備を確認し終えた後
布で視界をふさぎヒュドラの前へ堂々と姿を現し会敵したと同時にヒュドラが嘶きの咆哮を上げて俺も負けじと笑みを浮かべ
「今日こそ引導渡してやるよ…!!」
見えない視界の中、確かにヒュドラのいる位置へ向けて刃を向けた。
*********
攻撃パターンは把握済み。変なプライドがたたってか攻略サイトは読んでいない
俺はゲームをするとき説明書を読まず自分で確かめるタイプですので
モンスターの攻撃というのは基本プレイヤーの動きに反映している
遠く離れていたら突進か遠距離攻撃。近くにいれば尻尾による攻撃や噛みつきなどを行い
モンスターの残りHPに比例し行動も変わっていく
そこは昔とゲームと変わらず基本的に戦いを楽しむための最適解だと思う
だがこのゲームはハンター育成用ゲームだ。ダンジョンのモンスターの場合は少し勝手が違う。このゲームのモンスターはダンジョンの生物を
つまりゲームのAIというより生物寄りの存在なのだ。
倒せばドロップアイテムゲットとか経験値ゲットとか出来るゲームめいた存在ががなんで
危機が迫れば逃げたりがむしゃらに暴れたり予測不能の行動もだが蛇なので奴自身にピット器官が備わっているのも重要だ。
ゲームに於いてそのようなファクターは必要ない。体温を見る程度の能力はゲームに不必要。そもそもゲームキャラに体温なんてないのだから無用の長物なのだろう
だがAIではなく生物的にそれが備えられればどうなるか。このMMOゲームはキャラメイキングが不可能だ。実際にダンジョンに赴くのと遜色ない動きを再現するためにヘッドギアを通じて自身の体躯を分析しキャラとして構築されている。
つまり俺は電子で作られていながら現実と相違ないほどにリアルなアバターとしてゲーム内にいるのだ。疑似的にだが血も通っているし体温だって存在する。
『(リアルよろしく倒されれば肉塊になるわけではなく電子ポリゴン的に分解されるというグロテスク補正はされている)』
故にピット器官による相手の体温を見る機能が有用になっているというわけだ
俺の体温で汗に脈拍などを予測し攻撃の予兆や撤退の有無などそれだけで行動パターンも増えていくということになる
リアルとゲームが混在しているのもこのゲームの面白いところだ
ダンジョンに実際にいるヒュドラを基に
こいつを倒す=実際に倒せるようになる。というのがこのゲームの本質
レベル20縛りという事もあって実際のレベルが40だとすれば確実に勝てる計算だ
何度死んでもやり直せるリスポーンや痛みを抑える圧覚機能込みでも十分と言える
幾度攻撃を回避し相手の攻撃パターンや呼吸を読んでプレイヤースキルだけでヒュドラの攻撃を受け流し10分間ダメージを一切受けていない
横薙ぎ縦薙ぎ斜め薙ぎなど無尽に振るわれる尾撃を予備動作の空気の動きで把握することができた
視界が見えないのがペナルティになっていない。それほどまでに俺は自身の成長を実感している
ヒュドラの呼気の揺れから行動を読み溜めによって空気が吸い上げられる方向を認識し火炎攻撃も剣を盾に受け流す。懐内に入り斬撃をかまし爬行による轢殺攻撃をナックステップで距離を置き回避
アイツにはピット器官が備わっているが俺にはそんなもの必要ない
辛酸を舐められてから何十日。俺はハンターとして戦って鍛え上げられてきた
レベルやステータスだけじゃない。俺自身が成長しているのだ。持ち前の直感や経験で得られたものは俺にとって代えがたい。スキルが乏しいからこそやりくりしたことがあり
それが今でも適応している
そう、俺は依然としてスキルが少なく魔力もない。あるのは大剣とこの体だけ
そしてもうひとつ。レベルやステータスがなくても使用できるものがある
それこそが武技である。今まで戦い抜いてこられたのも無い手札から新たなカードを補充したからに過ぎない。このまま少しずつ削るのもアリだが…培ってきたものをこいつに見せつけるのも一興
レベル差でラグが出ているのも前回検証済みだ。レベル変動によるブレを頭に叩き込み攻撃の感覚をレベル20に合わせ
「見せてやるよ。俺の戦い方をなぁ!!」
『死に狂う斬叫―デッドストライク―』解禁
今は風の魔石がないがそれを補う条件は今まさに揃っている
それはゲームのバグ。本来起こりえない攻撃や判定などを意図的に起こす
俺の剣速の緩急で発生させるのは風の残像ではなく処理が追い付けず起こすちょっとしたバグ判定。グリッチを起こしてバグの残像剣を造り出す戦法だ
先んじて言っておくが俺はデバッカー泣かせのバグ戦術愛好家ではない断じて
ヒュドラも想定していないバグに混乱しているようで判定が左右上下に現れては消える為目標を定めることができない。剣速は緩急をつけ残像のバグを加速させる
ゲーム内には安全装置が組み込まれている。
アリアの時と違いセーフティーはバグにより誤作動を起こすことはない。
その当の俺がバグを起こして万が一安全装置が作動しない事態に陥ったら本末転倒だろうがそれはないと断言できる。なぜなら…
このゲーム。バ グ は 公 式 公 認 な の だ
ハンター育成ゲームという事でリアルに最も追求し
どうもダンジョンという摩訶不思議な場所は正確に設計するとこのようなバグが発生してしまい
ダンジョン自体が常識外の代物であると同時にありえないものを再現するということは存在しないモノを構築するに等しいとダンジョン不思議話のひとつとされている。
リアルに再現と言いながらダンジョン自体トンチキな異界である。
そこにある正確な尺度も値も測れず人間の意識を投影しながら夢の様に0と1で構築されていない
故にそれは目に見えている世界ではあるが現実ではない。酷似しているが全く違うなにかとしか言えない。夢で経験したからと言って現実で体験した訳ではないということ。最もダンジョンという夢のものを持ってこれるから余計ややこしく厄介極まりない
例えるなら雲をつかむような行為。絵に描いた餅を食べるようなものだ。出来ないからできないという限界だけが明確化している
攻略したダンジョンでさえ人間の認識が変わればダンジョンの設計すら変化する物理法則もへったくれもないモノを再現など土台無理な話である
つまりバグは必然であり自明。これはどうしようもない要素で取り除けば更に拡大していく
だからこそバグは公認で楽しんでもらう要素として放置しているということだ。つまり俺の所業は公認なんだ。
無数の刃に混乱するヒュドラのツラが見れないのは悔しいが
「この勝負、俺の勝ちだ」
そうどや顔で言い放ち、横薙ぎ一閃。釘を打つように連続で弱点の首もろとも斬撃を連続で叩き込み力技で無理やり切り飛ばしゲームクリアを
ひとつの首をいちいち狙えるほど器用ではない為。
*********
宿敵というか
達成感というものがあまりないのは例えるなら肩透かしを食らった気分だ
想定より敵を大きく見すぎていたようだ。それとも俺はこのままヒュドラを倒せずマップも埋まらない雪辱を持っていたかったのか…?などと考えながら
好きな作品の最終回を求めながら惜しむ二律背反のようなものだろうと思って
念願のマップ埋めをして確かに
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます