第51話 練気構想《アギトテクスチャ》
確かに
どういったものかは把握できたが、ただひとつ致命的な問題がある
「俺、どんな
「あー…だよなぁ。別に困っているわけでもねえのにいきなり作れっつっても困るよなぁ」
現状、カージテッドのような相手をする場合必要となるスキルであるが
俺自身一体何に特化しどんな能力にすればいいかわからないのである
俺が特化しているのは攻撃と防御。ならばそれを補う為弓野さんと同じく
魔法に属する
例えそうしたとしても俺はどういった対策で魔法を使うというのかというのが議題になる
魔法はMAGで多少補えているし魔法使いの佳夕さんがいる。よって俺自身が魔法を使えるメリットがないのだ
ならば攻撃と防御を生かした
だったらオールラウンダーの様にそれ以外を上げるというのはどうだろうか
だがそうすれば肝心の
ようするに甲乙つけがたい。具体的にこれにしたいというものが俺にはないの
だ
APを割り振ればもうやり直しは効かないだろう。故に悩む。一回性ゆえに取り返しがつかないからだ。慎重に考えなければいけない。
とりあえず決めあぐねているので参考までに弓野さんに聞いてみる
「弓野さんはどういった経緯でその
「オレか?
オレの場合は魔法増強目的と遠距離魔法破壊の為の
この
あれやこれや戦術を組み立てて挑んで生存率を上げるのが目的だ」
「なら何で死ににくい
俺はその答えに腑に落ちなかったがすぐに返答は帰ってくる
「単純だ。その場合危機感が薄れる。不死性という保険に依存しがちになるからな
それにダンジョンじゃ蘇生ができるし死んでもまたリトライできるからよ
必要性がないってわけだ。それに蘇生アイテムがあれば問題が解消するからな
オレに必要なのは手札の数で必ず勝機を見出すコト。だから魔法と魔法無効の
「あともうひとつ。
さきほどから聞いていてこんがらがりそうで頭の中で整理ができていない
「だよなー。まあわかる。最初はオレもそう思ったが使えたら違うぜ?
まずこのスキルは
ゲームであるだろ?ある時間経過や行動でゲージがたまるシステムとかよ?
そのゲージメーターが
そのガソリンでエンジンを回す。そして温まってきたらイグニッション
一気に爆発させるのが
つまり
「なるほど…」
つまり
そして先ほど言った通り
…やっぱややこしいな!わかったけど!!
うーん。ひとつのスキルにここまで悩むとはなぁ…
今まではステータスやスキルが自動で更新してきた分自分で決めるというのが
かなり迷いどころだ。
「あ、そうだ。これが重要だけどよ。
良かった。スキルはひとりひとつではないというのがわかったのは
それならAPステータスに割り振っても複数持てるなら悩む必要はない。俺にとって重要な情報だが…
「マジっすか。一つだけじゃないんすね!…は分かったんですけど後半部分がどういう意味かわかんないです」
そう、APで伸ばした分しか使えないのでは?と思ったのだ
割り振ってない部分にどうやって
「まあ口頭じゃ分かりにくいよな。じゃあオレの
そう言って弓野さんの前にデジタルなウインドゥが中空に浮き出てくる。
これはおなじみのステータスを確認するためのステータス画面であるが
見たところ俺の知っている画面とは少し違った様子だ
画面が青ではなく緑であり
ポイントの数字ではなく
まさに
「ステータスって人それぞれ違うよな?
APを割り振る前はどうかっつったら、元のステータスそのままなのよ」
アビリティスコア更新の為割り振ったステータスの先に解禁するスキルが存在する
体力に割り振れば体力系の
体力系ならばHP増大やHPの減りを減らすというものが一例として弓野さんは自身の
これって見てはいけないものでは?トップランカーの情報はある程度公開されているがやはり秘密にしておきたい部分が存在し。それを俺は見ている…。
なんだかやましいことをしている気分だが真剣に説明してくれる弓野さんに失礼なので切り替える
「つまり、元々APがない項目がないってことですか。
魔力がない人間である俺は魔力ゼロとかそう言った例以外で」
「ああ、魔力がなければ魔力にAPが割り振るのもいいかもな
つっても勘違いする場合があるから前もって言っておくが。
これはあくまで
実際にAPを使って魔力を上げても魔法は使えねえし
あくまで
実際のステータスが上昇するわけじゃねえのが難点だな。注意しろよ」
魔力ゼロの俺が魔力にAPを割り振る。その
そしてAPで使えるのは
魔力増強や魔法強化の
元々魔力がゼロならば無用の長物ということになる。魔力がない人間が魔力にAPを振るというのは無駄以外にないということだ
確かに注意項目だな
「つまり…もともとのステータス自体がすでに割り振られたAPがあって
強弱あれど少なくても使えないわけではない…ということですか?」
「ああ!いやーオレ説明苦手だから助かるぜぇ~!!感心感心」
「あーやめてください!俺子どもじゃないんすよ!!?」
くしゃくしゃと頭をなでる弓野さんにむず痒く恥ずかしい感情を覚える
まあ褒められて悪い気はしないので抵抗はしなかったがやはり羞恥は免れない
一通り気が済んで揉みにもまれまくったせいで俺の髪がうじゃじゃけてしまう
「はー、楽しかった。じゃ、続き行くぜぇ~。つまりすでにAPで解禁してるスキルもあってその
「つまり今の状態からでも
「ああ、だから急いでAPを割り振らなくてもいいってわけだ。ただし練度が低けりゃ昇華できるかは本人次第ってとこだな。そこが気を練るって書く所以よ。スキルと違ってチャージ時間が必要になるからスキル指定で使うんじゃなくどれだけ
記号的に作られたスキルは選ぶことで自動で発動する。
MAGの魔法が同じであり魔力がない為自力の魔法が使えない俺にはわからないが
多分
魔法の威力や魔力の運用は使用者の匙加減次第で変わる。
スイッチを押せば明かりがつくオンオフ形式ではなく
スロットルを調整しハンドルやアクセルを使い分ける操作系が魔法と
説明を聞く限り低いステータスはその分精度が低く練りにくいということだ。
だんだん理解が追い付いてきた。
未知の概念故に情報処理が滞ってしまうが疑問は氷解できた。
そして俺がどういった
「説明はこれくらいか…。じゃ、それで雄一はどんな
「はい。俺は…」
「いや、言わなくていいぜ!
こういった
能力ってのは割れちまったら対処されるからな」
「そんな…別にハンター同士争う訳じゃあるまいですし…」
大げさななどと思っていたが
「いやぁ?オレはしょっちゅうカビ女と
トップランカー同士不仲なようで過激だった
「それは控えてください。というか俺が言うのもなんですが
俺にステータス見せてくれましたよね?」
「…?」
気付いていなかったようだ。
無意識にステータスを見せてくれたのだろうという反応
そう、説明の際に俺は見てはいけないであろうステータスをあけっぴろげに見てしまった。やましい気持ちはないが禁忌に触れたような背徳は禁じ得ない
それを指摘するとしばらく、はて?小首をかしげ思索し数秒
はたと気づいたようで弓野さんは頭に湯気が上がるほどに顔を赤くし上気
堰を切ったように顔に熱を帯びていきそして
「…責任、取ってもらうからなッッッ!!!!!!!!!!!!」
「何の!!???????」
よくわからない宣言と共に何故か責任を負わされた
――――――――――――
――――――――
―――――
作ってはいないが方向性。どういった
ステータスを見てしまったお詫びもだがどちらかというと打算的な意味で
プロの人の意見を賜りたいのが本音だ
「オレの自業自得だし言わなくていいんだけどよ~?」
「いえ、俺もずけずけと恥ずかしげもなく見てしまい申し訳ないです。
と言っても俺としては
お詫びとかそういうのではないんですがね」
「なるほど。まあおあいこってことだな。
じゃあ聞かせてもらうぜ。お前の
「では改めまして。コホン。…俺の
ちょっともったいぶってわざとらしい咳ばらいをし一拍置いて
「魔力系の
ふっ…まさかの無駄遣いに驚きを隠せまいとキリッと見得を切って言い放った
だが存外に驚いた様子もなく。むしろ納得しているかのように弓野さんは頷いて
「魔力にAPを割り振って魔力系
そうすることによって魔法耐性とバフ系
そう言う事だな?」
淡々と冷静に分析し俺が説明しようとしたことをつらつらと述べ上げる弓野さん
「…空気読んでくださいよ」
「あ!スマン!!そういう場面だったか!?」
「まあいいですよ。ちょっと驚かそうと思ったのに…」
「ワリーワリー!」
「弓野さんの言う通りです。魔力系の
本来なら無用の長物化に見えるでしょうが魔力は使用だけではなく耐性も含まれますし
ステータスは依然変わらないでしょうが
魔力が疑似的に発生すると思うのでそれを用いて
魔法防御と魔法攻撃を上げていくってとこですね」
「MAGを使ってる場合発生する
魔力を纏う事で魔法耐性をつけてMAGがマナをオドに変換する工程も省略し瞬時に大型魔法を打ち出せるって寸法かい」
言いたいこと全部言ってくれますね…
プロハンターの
だが俺の机上の空論で終わるはずの考えに納得してくれたおかげで信憑性は増した
俺の予想通りに事が運ぶと分かったからだ
「それだけではなく俺の
その名も
「おお!カッケー名前じゃねえか!!」
そう言ってもらえると嬉しいが言ったとたんに恥ずかしくなる
今の世では当たり前だが厨二テイストのネーミングは
やはりこっぱずかしいものを感じてしまう
スキルは勝手に命名されるので自分で作るとなると結構きついな…
「攻撃力と防御力を魔力に変換し
膨大な魔力を用いて魔法として放つ
元々俺の攻撃力と防御力のAPは高めなので割り振る必要はなく
短所を長所として注ぎ込むのが肝っすね」
「でもそれだと無防備じゃねーか?
魔法防御はともかく物理攻撃が紙装甲になっちまう。
なんでその
「そこは色々何とかします(死んでも復活するスキルについては黙っておこう)
理由としてはまあ単純ですね。
まだAPをそこまで使いたくないのと
単純に魔法を使ってみたいってのが理由です」
「つまり色々かこつけていたけどロマンに走ったってわけか
良いじゃねーかよ!魔法が使いてえって気持ちはわかるぜ
今後もどういった
将来性も考えた良い案だと思うぜオレは」
「プロの人にそう言われると嬉しいですね」
そう、理由は単純。魔法を使って見たかったからのその一点
欠点を補ったり長所を伸ばしたり人それぞれ千差万別だろうが
俺はこの道を行きたい。
そしてもうひとつ内緒であるが…
魔力を疑似的に放出できるため
魔法銃を使えるという点が一番好感なのである…!!
大剣に魔法銃という
ロマンの中のロマンを俺は実現できることに歓びが湧き上がっていた
魔法銃が使えない適正であるが持てないわけではない。
魔力持ちの大剣使いならすでにいるのは分かっているし
その人はこんな馬鹿な真似はしないと知っている
だが…だが…!!
このロマン。理屈じゃない。男の夢である!!
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