第12話 魔族の姫
俺を睨みつける魔族の少女は額に脂汗を流していた。
それはそうだろう。【魔力霧散】は魔族にとっては継続ダメージのようなものだ。
幼い魔族には少々きついだろう。
俺は一瞬【魔力霧散】を解除しようかと考えたが、その直後
「こんなところまで逃げて来ていたのですか、姫ぇ」
ゲス極まりない声が響き、ゆうに3mもあろうかと言う巨体の魔族が空から落ちてきた。
少女は地面に刺さっている俺の方に飛び退き、落ちてきた巨漢の魔族を回避する。
「くそ、巻いたと思ったのに……」
少女は小さく舌打ちをする。
「さぁ、城へ戻りましょうぞ。姉君が心配しておいでですぞ」
巨漢の魔族の下品な声が猫なで声に変わって少女へと近づこうとする。
「来るなっ!!わしゃ戻らぬ。姉上の愚行を止めねばならん!!貴様は帰ってあの鬼女めに○○〇でもしゃぶってもらうがよいわ!!!」
”うわー、ずいぶん下品な言葉遣い。今姫様と呼ばれてたのに。”
俺は独りそう考えてると
「うるさい、気が散る。黙っておれ!!」
少女は動けぬ俺に向かってそう吐き捨てた。
ん?俺の声が聞こえてる?
そう思った矢先
「何を剣に向かって叫んでるんだか。アシュレイ様の邪魔が目的というのならこのまま城に戻ってもらうわけにはいきませんなぁ」
巨漢の魔族の目の色が変わる。そして好色な笑みを浮かべ
「くっくっく、実は俺は年端も行かぬ魔族をズタズタにしながら犯すのが一番の楽しみでしてねぇ。なんせ魔族は生きがいい。簡単に壊れないのがさいこーですよ」
下衆な顔に似あった下衆な趣味であった
”吐き気がするな”
「吐き気がするわっ!」
俺の思考と少女の言葉がシンクロする。
少女が驚いたように俺を見た。
どうやらこの魔族の少女は”適正者”らしい。
下衆な魔族の魔力が肥大し始める。俺の【魔力霧散】の能力下で魔力を集めれるほどの実力の持ち主。上級以上ということになる。
逆に【魔力霧散】の中で著しく能力を落とすこの少女は明らかに格下。
捕まれば映倫も真っ青、ロ〇コンも逃げ出すリョナプレイがこの少女の身に降りかかるのを俺は見て見ぬふりをできるほど変態ではなかった。
”おい。俺を手に取る勇気はあるか?”
俺は魔族の少女に声をかける。
俺は聖剣、彼女が”適正者”であったとしても魔族が持てば何らかの障害が起こることはありうる話だ。だが、あのゲスを生巣切りにするのにたいして労力は必要ない。
必要なのは俺を振るう肉体だ。
俺の問いかけが聞こえている少女は俺を見てニヒルに笑い
「おぅ。わしゃお前と出会うためにここに来たのじゃ。ちょいと悪いが力を貸してもらうぞ」
そう言うと俺の柄に手をかけた。
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