第2章 聖剣編
第11話 剣として
俺は動けない。
なぜなら動かすべき手足がないからだ。
もうどれくらいこうしているか分からない。
だが全然平気だった。
なぜならそこには空気があり。鳥がいてたまに獣も現れて俺の話相手になってくれる。
俺には十分な状況だ。
「ステータス」
おれがそう念じると視界にステータス表が表示される
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レベル: 121
なまえ:けんと
ねんれい:262
しゅぞく:けん
しょくぎょう:せいけん
HP 9999999999999/9999999999999
MP 9999999999999/9999999999999
ちから : 99999
ちりょく: 99999
まりょく: 99999
すばやさ: 99999
きようさ: 99999
みりょく: 99999
すたみな: 99999
じょうたい:つかいてなし
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スキル
【魔物操術】
【自動守護】
【完全回復】
【全体完全回復】
【自己再生・特】
【剣術・真極】
【神速抜刀】
【空断一閃】
【無刀剣術・改】
【魔力霧散】
【技能貸借】
【聖剣具現化】
【強化付与】
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そう、俺は剣だった。
聖剣、それはこの世に数本しかない神の作りし意志ある剣。
魔を討ち滅ぼし、神をも斬り伏せることのできる最強の武器。
故に使い手を選ぶ。
そう言われた剣としておれはこの地で相応しい使い手を待っている。
ここがどこかって?
最果ての地と呼ばれる場所だ。
最後の俺の使い手、勇者ヘンリーがこの地で大魔王バルクと死闘を行った地。
勇者は魔王を打倒し、溢れ出た魔力を封じ込めるため俺をこの地に突き刺して世界の崩壊を防いだ。
俺はその功労者というわけだ。
魔王の魔力は霧散して俺はいつでもこの地を起つことができる。
さぁ、俺を使って世界を救う勇者よ、現れろ!!!
……と思ってもう100年が経過している。
そら無理だよなー。ここは人の住まない最果ての地。
渡り鳥さんの話では人の世界は平和そのもの。誰もが平和を謳歌してむしろ人同士が争いを始めてるとか。
まったく、嘆かわしい。
ヘンリーが望んだ世界とはこういうものだったのか。
ともあれ、そんな世を正したくとも俺を使える勇者が現れぬことにはにっちもさっちも行かぬのだが……
ざわざわと、森が騒がしくなる。
いつもは気の優しい小動物たちが恐怖で殺気だっているのを感じる。
この気配、モンスターが俺の領域に入ったな。
俺のスキル【魔力霧散】はその場に集まった魔力を浄化するだけでなく結界としての効果もある。レベルの低いモンスターならこの結界にふれるだけで消滅するはず。
高レベルのモンスターか、あるいは……
「はぁ、はぁ、はぁ……」
生き物の荒い息遣いが聞こえてきた。がさがさと木々をかき分ける音が聞こえ人影が俺の前に躍り出た。
そこに現れたのは背の低い女の子であった。年のころは12、3と言ったところか。
ボロボロの服を纏い、小豆色の髪はくねくねと天然パーマでもじゃもじゃになっている。布から出ている白く細い手足はここまでくる間に付いたであろう擦り傷や切り傷で血がにじんでいる。
こんなところに人間の女の子?
いや、違う、その少女の頭にはぐるぐるとねじ曲がった角が2本生えている。
彼女は魔族だ。
俺が100年前に戦った魔王の眷属だ。
「み、見つけた」
魔族の少女は俺を睨みつけそう呟いた。
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