閑話 ただ剣を振る

…………‥


俺はゆっくりと目を覚ます。

なにもない空間。ただただ真っ白な。なにもない空間。

俺はたぶん横になっているのだと思う。

確証はない。真っ白すぎて起きてるのか寝てるのかそれすら定かではない。

俺はなぜこんな所にいる?

……いや、そうだ俺は剣を振らなければ

俺は手元を見た。

手には鉄の剣が握られている。そう何度も何度も何度も振ったその剣はきっと俺の身体の一部に違いない。

俺は身体を起こす。

いや、前にかがんだのか?まぁどちらでもいい。

俺は剣を正眼に構える。スッと流れるように構えれるようになった。

何も考える必要もなく俺は剣を振り被り振り下ろす。

もう何度この動作を繰り返したのだろう。

流れるように呼吸をするのと同じ要領で俺はただただ剣を振る。

なぜこんなことをしてるのか?

ふと思い出そうと試みる。

あれはいつのことだっただろうか?

300年くらいまでは数えていた気がする。

300年?なんだったか?それは

ああ、そうだ。俺は剣を極めたかった。

どうしてだったかは思い出せない。

ただただ強い剣士に憧れた。そして剣を極めようと思った。

そして……老人に出会った。

老人は弱い俺でも強くなる方法を教えてくれた。

この1億年空間で剣の修行をすることだと老人は言った。

一億年というのがなんだったか…‥今は思い出せない。

だがそれから俺は剣を振った。

流れるように剣が振れるようになった時。おれは喜んだ。

だがまだ足りなかった。

俺はさらに己を磨いた。剣閃が空を切り衝撃波となって遠方へと届くようになった。

俺は何の感慨も浮かばなくなっていた。

まだやれることがあるような気がして俺は剣を振った。

それからどれくらい経ったのか分からない。

寝ても覚めてもいや、寝てるのか起きているのかも定かではない。

とりあえず剣を振り、剣を振って剣を振った。

ふと思った。

「ステータス」

ぼそりと呟く。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

レベル:   101

なまえ:けんと

ねんれい:50259448

しゅぞく:にんげん?

しょくぎょう:けんせい

HP 9999999999999/9999999999999

MP 9999999999999/9999999999999


ちから :  99999

ちりょく:  99999

まりょく:  99999

すばやさ:  99999

きようさ:  99999

みりょく:  99999

すたみな:  99999

じょうたい:せいしんほうかい

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


遠い昔に見たステータス表が俺の眼の前に現れる。

これが何だったか?俺は思い出せない。

ただおもむろに目の前に現れた白以外の何かを左へ2度動かす。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

スキル

【魔物操術】

【自動守護】

【完全回復】

【全体完全回復】

【自己再生・特】

【剣術・真極】

【神速抜刀】

【空断一閃】

【無刀剣術・改】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


と書かれてあった。

俺は小首をかしげる。

なんだったか。これは。

俺は考えるのをやめて剣を振った。



…………………



どれくらい剣を振っただろう。

俺はもうわからなかった。なぜ剣を振ってるのか、いや、終わりはいつだ?

俺は剣を振るのを辞めて天を仰いだ。

見つめているそこは天なのか?地なのか?

俺は今度は俯いた。

見てるのは地なのか?

俺の身体が見える。

俺の手には剣がある。

剣とはなんだ?

これは人を殺す道具だ。

そうだ殺す道具。

そうだ。

簡単だ。

俺は剣を逆手に持ち変える。

切っ先を俺に向ける。

何度も振ったその剣は俺の一部だ。

だから俺は剣と共になろう。

おれが剣

そう俺は剣人だ。

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