第150話 五桁
丹菜の隣に静かに立つ実莉亜。それを見た実莉亜フレンズは丹菜が二人になったと驚いている。
「実莉亜ちゃん、実は私の妹なんです。ふふふ」
「え? うそ! 実莉亜なの? え? 姉妹? え? え?」
二人は丹菜と実莉亜を交互に見る。ただでさえ、双子に思われる程似てるのに、丹菜の「妹」発言で更に困惑だ。
「冗談です。私は一人っ子ですし、実莉亜ちゃんは弟さんが居ます」
「なーんだ、ビックリしたぁ。てっきり……って、実莉亜ってこんなに可愛かったの⁉︎ マジで? って葉倉先輩と瓜二つ……ん? 化粧のせい? 目元がなんか違うかな?」
「そうです。色々訳あってお顔隠してましたけど、それも今日までです。陽葵が言ってた『仲良くしとけ』って意味分かりました? 実莉亜ちゃんの素顔知ってから仲良くなろうって言っても……それってどうなんでしょう?」
「ま、お前ら自身の人徳だ。胸張って友達宣言していいんじゃないか? な? 実莉亜」
「うん。友達ってのがよく分かんないけど、これからも宜しくね」
「うん、ありがと」
余談だが、文化祭が終わって数日後、隆臣が泣いて相談に来たんだが……
「俺の居場所取られたー……」
自分だけの実莉亜じゃ無くなったもんな。でも、異性の中では実莉亜に一番近しい人なのは間違いない。ま、あとは頑張ってくれ。
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———間も無くBerry’zとLallapaloozaが登壇だ。
ここで動画撮影のルールを紹介。
文化祭のステージは撮影はOKだが、動画のネットへの投稿は本人の許可を必要としている。当然、それを破れば生徒なら一発で退学、一般客であれば法に訴え、慰謝料やら賠償請求やらとんでも無い額を請求するって色んなメディアを使って告知している。
今回、Lallapaloozaは顔出しで行く。実莉亜もだ。動画配信は無し。
Berry’zは、普段から素顔で動画配信をしている。勿論今回も配信OKだ。
「実莉亜、大丈夫なの? 自分らが言うのも変だけど、彼女ら、マジでヤバいよ。フォロワーも四桁だし、一応、ライブっぽいのもやってるし……」
実莉亜の新友達の二人は心配そうにしている。実莉亜は自分のステージの事はよく分かって居ない。俺が代わりに説明してやった。
「大丈夫。コイツら、夏休みにライブやったんだけど、あんまり凄すぎて、他の出演者涙目になったんだよ。正直俺らもヤバくてさ、限界超えたその先まで行かされちまったよ」
その言葉に私も思わず口が出た。
「あれはホント酷かったですね。でもお陰で私も限界超える事が出来ました。お二人は安心して舞台を見てて下さい。フォロワー数五桁の私達が言うんです。彼らの動画はそれ程じゃ有りませんが、生の音は本物です」
「え? 正吾君がトゥエルブって事はハイスペックスで……葉倉さんが限界超えた? ……で、五桁で私達? あれ?」
「ふふふ、明日楽しみにしてて下さい」
さ、皆で体育館に移動だ。
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