第149話 露出

 ———文化祭初日。丹菜と俺は二人で各クラスを回った。写真の件で、俺達を見る生徒はヒソヒソと陰口を叩く。正直、気分が悪い。直接言われた方がスッキリするが、そんな事当人に向かって口に出来る奴はそいつの親友位だろう。嫌になった俺達は部室で時間を過ごす事にした。



 今日はLallapaloozaとBerry’zの勝負の日だ。部室ではLallapaloozaが準備を始めている。出番は最後の二組だ。

 俺と丹菜が部室に入ると、突然騒がしい声が聞こえて来た。


「実莉亜の今日の衣装、すっごい可愛いー♡」

「こういうの好みなの?」


 部室では、実莉亜の周りに部外者が二人、彼女を囲ってはしゃいでいた。実莉亜と紗凪ちゃんはサブカル系で決めている。ワイルドだ。

 そして俺達に気付くと皆挨拶をして来た。


「あ、丹菜ちゃん、正吾君お疲れ様です」


「お疲れ様です」


「よっ」


「随分騒いでましたけど……あれ? この子達は?」


「わぁー♪ 本物の葉倉先輩だ♪」


 見掛けない二人は丹菜を見て感激して惚けてる。その二人を実莉亜が紹介してくれた。


「Berry’zに居た子達です。陽葵ちゃんが『仲良くしとけ』ってのを素直に行動したらBerry’z外されちゃったって……」


 実莉亜の言葉に二人の女子は首を横に振る。


「うん、それは気にしないで。元々私達、無理矢理引き込まれた感じだったし、あの子のしがらみ面倒でさ」


「そうそう。希乃先輩の一言はいいキッカケだったね。実際、実莉亜に接してこの子なんか空気感がいいって言うか可愛いなって……」


「え? 可愛いって……お顔見せたんですか?」


「まだ。今から見せようかなって……」


「それじゃあ、これ使うか?」


 俺は俺愛用のカチューシャを手渡した。


「え? なんで正吾君、カチューシャ持ってんの?」


 女の子二人は顔を見合わせて不思議そうな顔をしている。カチューシャ持ってる男ってそんなに居ないもんな。


「ん? 俺が使うからだよ。何ならもう一個あるから……」


 俺は徐に顔を曝け出した。


「———!」


 二人は当然絶句する。多分この絶句は「え! こんな顔だったの?」って絶句だ。そして第二段階で「あれ?」って表情になる……。


「———あれ?」


 ほれ、なった。そして最終段階。「トゥエルブ」って事に気付く。


「うそ! トゥエルブ……え? マジ?」


「正吾君、随分あっさり見せましたね」


「別にもう隠す気も無いからな。明日でこの前髪ともおさらばさ。一応、明日まで内緒な」


「え? え? え? じゃあ、あの葉倉先輩とトゥエルブの写真って……」


「はい。恋人同士が普通にイチャついてる写真です」


「マジー! 良かったー。葉倉先輩そんな人じゃ無いって思ってたからぁ」


 そう言いながら彼女達は泣き始めた。丹菜の立場も心配してくれるって、ホント素直ないい子達だ。そして丹菜に目を向けると、二人の目は大きく見開いた。


「って……え? 葉倉先輩って双子……えぇ!」


 丹菜の隣に立つ実莉亜。彼女もこういう悪戯するんだな。いつの間にか何も言わず、静かに気付かれないように髪を上げてメガネ外して丹菜の隣に立って居た。

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