第48話 入部
———お昼休み。俺達は「軽音部」と書かれた張り紙がしてある部屋の前に立っていた。
” ———ジャャッ♬ “
「……終わったみたいだね?」
『———誰かそこにいるの?』
部屋の中から声がした。女の声だ。
「失礼しまーす」
陽葵がゆっくり扉を開けるとそこには女がギターを持って立っていた。三年生だ。ついでに言うと、学年毎に上履きに入っているラインの色が違う。一年は緑、二年は青、三年は赤だ。俺達は三年間緑になる。
「あれ……あなたは葉倉ちゃんと……昨日盛大に告られてた彼氏君。後は……with 仲間達?
流石に丹菜の事は知ってるようだ……丹菜は愛想良く応えた。
「―――そんな感じです。廊下を歩いていたら音が聴こえてきたので、気になってここに来てみました」
「あちゃー、音大きかったか。ちょっと落ち込んでたもんで、テンション上げたくてね。普段は音量そんなに上げずに弾いてんだけどさ」
室内を見渡すと、部屋は教室の半分くらいの広さだ。室内の隅にはギター、ベースがスタンドに立てられていた。キーボードではなく、キーボードとドラムはしっかりセッティングされている。
「そうだ! 突然なんだけど、軽音部入らない?」
「突然ですね」
ここは空の出番だ。
「何か理由があるんですか?」
「実は、来年廃部が決ってるんだ」
「部員は何人いるんですか?」
「三年生だけ。だから来年廃部なんだよ。私達が創部した部だから残したいんだけどね」
「であれば俺達が入りますよ」
「俺……達?」
「はい。俺達五人がこの部を存続させます。何か問題ありあますか?」
「誘っておいてなんだけど、楽器弾けるの?」
「一応、皆弾けますよ」
大地がドラムで軽くリズムを刻んで見せた。
「ほんとだ。バンド組んでんの?」
「えぇ……まぁ……」
「なるほど。それじゃあ、君達に託していいのかな?」
「任せて下さい。間違い無く二年間は存続します」
「有り難う。顧問は英語の田中先生だから入部届出しといて。あと、私、明日からここに来ないつもりだから、明日から自由に使って」
彼女はそう言うと、部屋を後にした。
「なんか、俺達の場所をゲットした感じだな」
「明日から、ここで昼飯食べるか」
「だね」
俺達は、俺達の居場所を学校の中に確保することが出来たようだ。
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―――時間は進んで土曜日。朝を迎えた訳だが……朝起きると今日は丹菜が隣に寝ている。裸で寝ている―――五回やった。出したのは七回だが……。
寝起きにもう一回……二回かな?
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