第27話 ファーストキスの味


「不思議だな…これ程まで人石を食べてもお腹が膨れないなんて」


あれから後、解体を俺のアイテム収納の中で黒薔薇や黒牡丹がして、俺の前に大量の人石が積まれた。


それを片端から飴を飲み込む様に飲み込む。


恐らく先程の惨殺でかなりレベルが上がっている筈だが…


更に体が熱くなり…自分自身が全く違う存在になっていくのが解った。


しかし、我ながら…かなりの屁理屈だった。


だが、仕方が無いな…俺は元から『邪神側の人間』人間の敵だ。


人を殺すのは当たり前の事だ。

まぁどう考えても屁理屈だよな…


しかし、どう考えても自分の体積の何倍もの物量の石を飲み込んでいるのに満腹にならない。


鑑定でもしてみるか。


『鑑定』


黒木 瞳

LV 1(神レベル)

HP 1億2千

MP 2億4千

ジョブ:邪神人(半神半人、亜種)※亜種の為1部、聖光属性の力を使える。

スキル:偽りの全知全能(魔法、奇跡を含み、殆どの事は出来るが半神の為、神に及ばない) 邪神眼(半神の為完ぺきではない)

信徒:黒薔薇 黒牡丹 霧崎京子と名乗る化け物

眷属:邪神エグゾーダス  邪神コーネリア

※人間の時の眷属とは違い仕えるべき神を表す(2柱の神から見て仕えている下級神扱い)

※半神半人とはいえ神なので『人間の鑑定』は一切通じない。


なんだか、凄い事になっている。


これも貰った加護のせいかも知れないな。


「黒薔薇、黒牡丹、なんだか楽しそうだが…気持ち良いのか?」


「瞳様も入られませんか? 気持ち良いですわ…それにこれは吸血する者の憧れですわ」


「お風呂に浸かりながらのお肉…美味い」


黒薔薇と黒牡丹はお風呂に入りながらドリンクを飲んだり、食事をしたりしている。


王族用の大きな湯舟に浸かっているのだが、彼女達の体は見えない。


理由は、入っているのがお湯ではなく血だからだ。


そして、その血のはってある湯舟には人肉が幾つか浮かんでいて黒牡丹がかじっている。


黒薔薇は偶に口をつけて啜っている。


元人間の俺からしたらなかなかショッキングだが…二人の顔は官能的にエロイ。


興奮しているのが良く解る。


行為は悍しいのかも知れないが…彼女達は何時もより凄く綺麗でセクシーに見えた。



◆◆◆


「ふぃ~」


やはり俺は日本人…普通にお湯の方が気持ち良いな。


王城だけにお風呂が幾つもあるから俺は今違うお風呂の湯舟に浸かっている。


「やはり日本人はお風呂だね」


「お京?!」


「どうかしたのかな? 顔を赤くして…あははっ、もしかしてこの『霧崎京子』の体も好みなのかな?」


京子はどう言う訳かどの姿でも美人、美少女に見えるから困る。


「お京はどの姿でも綺麗だから…困るよ」


「あ~あ~そうなんだ? それならあははは、この体で相手してあげようか?」


「そう言う事は…そのまだ先で」


「あれれ、瞳って案外純情なんだな…それじゃキスしてあげるよほら…」


「ちょっとお京…口が臭い…」


「あっあははははっ、ごめん、さっき迄、脳味噌食べていたからかな?口ゆすいでくるよ」


そういうと出て行ってしまった。


◆◆◆


暫くして京子が帰ってきたのだが…2人も一緒だった。


「ずるいのですわ、キスをするなら私が最初ですわ」


「姉さま…姉さまが一番なんて決まってない…初めては黒牡丹が貰う」


「あれれれ、可笑しいな? さっき迄私がする話だったんだよ? なんでおこちゃまが割り込んでくるのかな?」


黒薔薇は爪を伸ばし臨戦態勢、黒牡丹は指を鳴らして、京子は何かに変身し始めている。


「ちょっと…喧嘩は止めて欲しいな」


「そうですわね」


「止める…」


「仕方ないな、それじゃ…」


三人は目配せをして俺一斉に抱きついてきた。


「「「う~んっ」」」


三人に抱き着かれキスされたのだが…


俺のファーストキスの味は生臭さと鉄の様な味が混ざった味だった。


けっして甘酸っぱいレモンの味なんかじゃない。

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