穴のQ 僕が分からない

水曜日の缶を冷蔵庫から取り出し、ついでに穴の用のBeerも取り出す。


まずは穴のためにプルタブを引き、グラスに注ぎ、やっと自分のためにプルタブを引く。


孤独がどうしようもなく辛い日もあれば、孤独を切望するような日もある。


今日がそんな日だ。


天井の円盤みたいな蛍光灯はUFOみたいにノイズを孕んだ明かりを僕に降り注いでいた。


Q、ここじゃないどこかに行けば僕は楽になるのか?


A、空白


気が付くと真っ青な全身タイツのモジモジくんがテーブルの向かいでBeerを美味そうに飲んでいた。


「誰…?」


僕が呆気にとられているのを見て青タイツは不敵な笑みを浮かべる。


彼は何も答えずにまたBeerを口にした。



Q、僕は誰なのか?


A、紛れもなく僕でしかない。


だけどそれが何を意味するのか僕には分からなかった。


無言のまま僕は青タイツとビールを飲んだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る