(四)

 そして翌朝、小森江直美は駅のホームにいた。母の言葉のせいで全く眠れなかった。そして電車に乗った。どうしてそうしたかは、直美もよくわからない。いつもであればここは大学へ向かう通学路であり、この駅で府中本町行きから新宿方面行きの快速列車に乗り換えている。

 駅のスピーカーから女性の声で、列車通過のアナウンスが流れた。同時に南船橋方面のホームへ上がる階段近くの、ちょうど客で混雑するあたりにいた駅員が、マイクに向かって叫びながら旗を直美の方に向けていた。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る