(二)-18

 ところがここへ来て思いがけず、チャンスが来たのであった。家を出て新しい家族のもとで幸せに暮らすことができる、明るい未来からの一筋の光明が見えたのであった。

 しかし、両親は許さないだろう。だから誠が「君のご両親に挨拶したいんだ」と言ってきたとき、直美は即座に断った。

 結婚など、両親が許さない。父は最近になって丸くなって気がしていた。だから許してくれるかもしれない。でも母は違う。直美のことを目の敵にしていた。「お前なんか不幸になればいい」と面と向かって言われるようにもなっていた。母親はそんな結婚なぞ決して認めない。

 それでも誠は「ご挨拶に行く」と言って聞かなかった。少しの期待はあったが、不安の方が大きかった。


(続く)

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