(二)-17

 直美はその後、誠にプロポーズをされた。一緒に暮らさないかと。直美にとっては思いがけない提案であった。

 それは誠が直美のことを思っての事であった。そうすることで直美に早く家から出ることを勧めようとしたのだ。

 そうでもしない限り、直美がその母親と離れることはできない。そうしなければ、彼女は潰されてしまう。それならば、自分ができることは、彼女が今いる環境から抜け出させることではないのか。誠はそう考えた上で決断した。

 直美の方でも、今のまましばられたいとは思っていなかった。いずれ家を出る日がくるだろうとはなんとなく思っていた。しかしそれはいつになるかはわからなかった。


(続く)

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