(二)-9

 その後、家の近所のスーパーのアルバイトをすることになった。母も買い物でよく利用する店だったので、母からは渋々ながらに認められた。

 勤めたのはお総菜コーナーだった。午前中の作業としては、調理してパック詰めしてそれを出すというもので、午後は主に品だしをしたが、レジ係に入ることもあった。

 子どもの頃から勉強ばかりしてきたせいで、接客には全く慣れていなかった直美だったが、慣れるうちに働くことが楽しくなった。職場であれば、自分の母親ほどの年齢だが母親よりも明るくて親切な人たちと一緒であった。殴られたり怒鳴られたりわめき散らされたりすることもない環境で、家にいる時のことを忘れさせてくれた。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る