(二)-10

 やがて直美は同じ職場の中である男子と仲良くなった。名前は海老津誠といった。同じアルバイトではあったが、彼は高校生の時からここで働いているという子だった。高校卒業後は進学せずに、ずっとここで働いていた。

 その子と仲良くなり、その仲は進展していった。時折二人きりで映画館やショッピングセンターに行くなどした。お互いに告白をしたわけではなかったが、なんとなくそういう関係になっていた。

 他のパートのおばさんたちからは、生暖かい目で二人のことを見守ってもらえていたので二人はそう意識せずに付き合っていた。そこへあるとき、直美と同じ学生アルバイトの男子から「お前たち、付き合ってるんだろ」とからかわれたことがあった。


(続く)

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