第9話 あんこと英語

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【前回までのあらすじ】

AI翻訳機によって話せるようになったあんこ(♂)。

自分の意思を人間に伝えられるけど、人間の言葉は分からない。

猫からの一方通行のコミュニケーションは人間界でどこまで通用するのか?

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「Who are you?」


あんこが窓の外に向かって叫んでいる。


今日はみんなが家にいるから英語の勉強になると考えて英語モードにしていた。さすがAIだけあってネイティブの発音で話しているのでまるで外国の人が家にいて怒鳴っているようだ。


「Where are you from?」

「Go away!」

「Do you want to fight?」


野良猫がうちの窓から覗いていたのをあんこがパトロール中に見つけて叫んでいるのだ。

散々英語での怒号が続いたあと野良猫は何喰わく顔で立ち去った。


しかし、あんこの興奮は冷めやらず「Fuck you!」を繰り返している。


「Fuck you!」

「Fuck you!」

「Fuck you!」

「Fuck you!」


大きい方のヤツはあんこをなだめようと飼い猫に向かってつたない英語で

「Please calm down… Relax リラーックス」

と言っている。


小さい方のヤツはあんこの真似をして

「ファックユー ファッキュー」

と繰り返している。


ママの目論見は見事に外れ英語の勉強どころではなかった。


ママは「Oh my gosh!」とつぶやきながらあんこの英語モードをオフにした。

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