第2話 あんこの日常

ママの腕の中で眠り、幸せな眠りから覚める。


「ニャーニャー」


大きい方のヤツに向かってなく。顔に足でちょんちょんしてみる。大きい方のヤツが起きない。仕方なく顔の上に座って起きるのを待つ。


「はーはー あんこー窒息して死んでしまうよー」


オレはお腹が空いて死にそうだ。

大きい方のヤツはオレのごはんの用意を始める。

ごはんを食べると眠くなったのでまたママの温もりの中で眠る。


みんなが出かけた後は一通りパトロールを終え、また眠る。


大きい方のヤツが押すとチンと音の出るものを買ってきた。そしておやつを前にオレの足をもって音を鳴らした。何だ?大きい方のヤツは何がしたいのだ。早くおやつを出せ。


大きい方のヤツは何か諦めた様子でおやつを差し出した。


「だから言ったじゃない、あんこにはわからないわよ。」


ママがオレを撫でながら言う。


「でもYouTubeで見たんだよ。猫がチンって鳴らしておやつをもらう動画を。あんこにもできるかなと思って買ってきたのに。 」


大きい方のヤツが残念そうに言う。


「トレーニングが必要よ。それに猫はそもそも何かを得るために動力を使わないそうよ。」

ママは言う。


「えーそうなの。せっかく買ってきたのに。」


その何かはどこかにしまわれてもう2度と見ることはなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る