第3話 あんこ病院に行く

何かがおかしい。あんなに大好きだったごはんが食べれない。オレとしたことが。


「あんこがごはん食べないんだよ」

大きい方のヤツが言う。


「そうなの。病院に連れていかないと。」

ママが言う。


そして大きい方のヤツが持ち運びできるケージを持ってきた。


やばい、あれは何か嫌な記憶がよみがえる。嫌なところに連れて行かれるサインだ。早く逃げないと。。。と思っている間にいつの間にか小さな箱に入れられてしまった。


箱の中で必死の抵抗を試みるがその努力もむなしく箱は動き出した。


***


箱の中から何やら変わった形の生き物が見える。ワンと言ってこちらに好意的な眼差しを向けている。シャーと返しワンと言う生き物を撃退する。


あんこは箱ごと別の部屋に移動させられ箱が開かれた。これは早く逃げるしかない。と思っているうちに数人で羽交い絞めにされる。シャーシャーと精一杯の抵抗をしたがどうにもならない。


白い大きいヤツがこともあろうかオレのお尻に何か鋭いものを突き刺した。痛い。痛くてたまらない。オレが何をしたというのだ。


「軽い胃腸炎だと思うので注射を打っておきました。お大事に。」

白い大きいヤツがにこやかに言う。


オレは白い大きいヤツを一生許さない。


***


そして一通りシャーシャーを繰り返し家に戻った。大好きなママだが今日は許さない。ママにもひとしきりシャーシャーを繰り返し続けた。


ママは言った。

「ちゅーる」


オレはシャーの途中であろうことか少し高い声でニャーと言ってしまった。

『ちゅーる』という魅惑的な響きに負けそうになりながら必死で自分を保つ。


ママはもう一度「ちゅーる」と言う。


今度は思い切り高い声でニャーと言ってママのところに駆け寄ってしまった。


オレはこれでいいのか?


しかしもう手遅れだ。

必死にちゅーるという魅惑的なものを舐めている。

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