第6話 私の話
「あら」
カバンの中に黒のLAMYが転がっていた。
「持って帰ってきちゃったのか」
適当に放り込んでしまっていたが、キャップは外れていなかった。流石はドイツ、バウハウスの流れをくむLAMYだ。
黒のLAMYだが、HERBINのオペラレッド(ROUGE OPERA)を入れているので、文字を書くと、黒のドレスを着て、赤い口紅を差した女性のようで、ちょっと艶っぽい。
殺伐としがちな職場で、独特の赤は映える。
「たまには、こっちにするか」
私はライムグリーンのLAMYを手に取った。コンバーターの中のインクがそろそろ終わりそうになっている。使い切ったら、洗うこともできる。ちょっと数日、こちらを使ってインクを終わらせよう。
私は黒のLAMYを取り出し、筆箱に入れたライムグリーンのLAMYをカバンに入れた。
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