第2話 私の話

「おっと危ない」

机から滑り落ちようとする万年筆を、私は掴んだ。

「やれやれ」


 目立つ色にしておいてよかったと思う。

「いくらステンレスのペン先でも、落ちたら歪むよね」

手の中にあるのは、ドイツLAMY社のサファリシリーズのライムグリーンの万年筆だ。2008年の限定品、思い切って買ってよかった。


 ちょっと太めのMのペン先が書きやすくて気に入っている。仕事ではPCでの作業が大半だ。手書きの機会はめっきり減った。たまの手書き作業では、もっぱらこの万年筆を使っている。


 万年筆の良いところは、好きにインクを変えられることだ。ここ数年はフランスのHERBAN社のカランクブルーのインクを使っている。ブルゴーニュレッドも好きだが、このライムグリーンの万年筆には似合わない。


「あ、またインク補充してあげなきゃ」




 

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