第9話
『新入生の皆、入学おめでとう。全教員を代表して副学院長である私、マーリン・ベル=ブレイズが祝辞を述べよう』
唖然。その一言に尽きる。
まさかあのマーリンが副学院長とは………。
放浪してばかりで役職があるのか不安だったが、杞憂だったようだ。
「………父さん、副学院長だったんだ」
「………驚きです」
「?二人は知らなかったのか?」
「聞いたこともない」
「知らされていませんね」
「そもそも、帰って来たと思ったら土産だけ置いてすぐ出る」
「そうですね。話す暇もなく出ていきますから」
ふむ、確かに。俺を置いてった後もすぐ出て行ったか。
『さて、今年の新入生は逸材揃いとなった。かの三大勇者だけでなく、【剣聖】や【聖星女】などが入学した』
ザワザワとし始める新入生、在校生を見つつ、マーリンは話す。
『それだけでない。去年話題となったかの【死災】も入学した』
「「「!?」」」
更に喧騒が大きくなる。
「かの厄災が!?」
「マジかよ……」
「俺、生きていけるのかな……?」
「い、今から帰ることはできないのかな……?」
………俺は知らんぞ。知らんからな。
だからアーサー、アルトリア、こっち見るな。
リリィとアリスもだ。
あとその他も。
『さて、挨拶もここまでとして、皆んなが一番知りたがっていたであろうクラス分けを発表しよう』
その言葉と共に映像魔導機から映し出されると同時に読み上げられるクラス分け。
再びざわざわとしだす中、俺はげんなりとしていた。
「……………この作為的な面子はなんなのだ?」
「……………絶対マーリンが何かした」
「ヤー。あの男ならやりそうです」
「まぁ、気心知れてるって点だけはいいのかな?」
「そうね。その点は感謝しないといけません」
「……あの男、次会ったら切り刻む」
「ひぇー、アルが怖い言葉を……」
「まぁ、こうなるよねぇ……」
「ぇ?………ぇ?」
「………嘘。三勇者様に【剣聖】様、【聖星女】様、それに『天軍師』様?勢揃い?」
クラスはI〜Xまである。俺とアリス達、アーサー達はIクラスだった。その他にも二人の勇者、【剣聖】、【聖星女】、『天軍師』も同じクラスだった。
(※セリフ順は
『死災』
【白の勇者】
【刻の勇者】
【剣聖】
【聖星女】
【星騎士】
【星の勇者】
『天軍師』
アリステラ
リリステラ
です)
「そういえば、さっきから気になってたんだけど、この子達は?」
「あー………
「エヒト?そんな話、聞いたことない」
「まぁ、義理だし。マーリンの野郎にさせられただけだしな」
「へぇー、律神がお兄ちゃんか」
「ふむ、意外と似合っていますよ?」
「兄様より良いかと」
「……アル、心に刺さるからやめて」
「いや、そんな事ねぇと思うけど」
「それは妹さんの顔を見てから言ったら?」
「顔?」
二人の顔を言葉で表すと
「「むふん」」
だ。いや、言わんでもいいのだが。
「初めまして。私はロクス・サーンクトゥス=クシフォス。【剣聖】を継承した者だ。よろしく」
「アイラ=ルクス・クロノス。【刻の勇者】です。これからよろしく、です」
「お初にお目にかかります。ステラ=ジャンヌ・ダルクです。【聖星女】を継ぎましたが、学友として接していただけたら嬉しいです」
「ノクト・アーカイブ。『天軍師』と呼ばれているが、そこの『死災』の数少ない友人だ。これからよろしくな」
「シロ=ブリタニア。【白の勇者】。よろしく」
「アリステラ・ベル=ブレイズ。リツにぃの妹。よろしく」
「リリステラ・ベル=ブレイズです。同じくリツ兄さんの妹です。皆さんと同じ学友になれる事、とても嬉しいです」
挨拶を交わしているのを眺めつつ、留守番しているルナとルイシャをどうするか、と考える。ルナはともかくルイシャは来たがりそうだしな。
『さて、クラス分けを見終わったところで、それぞれの寮と教室に案内しよう。案内はそのクラスの担任に行ってもらう事になっている。初顔合わせは早い方がいい、と言うのが学院長の考えだからね。それでは移動開始だ!楽しんできたまえ!』
その言葉を最後にクラス単位で転移魔術陣が発動する。
神域魔術をこの規模か………。無駄遣いすぎる!
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
「第七話 sideアリステラ・ベル=ブレイズ」
を少し訂正しました。
勇者達の容姿は次です。
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