第5話

【冠ノ竜】とは、竜種の中でも一体しかいないと言われている種で、その時代に一体だけ生まれてくる。何がキッカケで生まれてくるのか、なぜ一体だけ生まれてくるのか謎に包まれた種だ。

考古学者の間では【冠ノ竜】は単体の幻霊種エイドスなのではないか、と言う説を唱えている。


閑話休題それはさておき


『あるじー、お腹減ったー』


まぁ、そんなことをコイツに聞いても何も分からないわけで。今は食い意地が張っておるわ。


「今リリィが作ってるだろ?」

『待ちきれないのー。何かちょうだーい、あるじー』


頭の上で駄々をこねるな。

ため息を吐きつつ食べかけのパンを食わせる。


「それで、入学式ってのは行かないといけないのか?」

「なんでにぃの中では行かない事になってるの?」


あ、こら。俺の肉を食うな。


「いやまぁ、行かないで済むならそれに越したことはないのでな」

「にぃは何が嫌?」

「嫌と言うか、どう言えばいいのか……」


食べさせるから落ち着け。え、ルナも?まぁ構わないが。


「俺より弱い奴が多いのだろ?であれば、必要がないだろう」

「そうとは決まってない。今年はスペシャル。確定で強い人がいる」


ほらルイシャ。リリィがご飯持ってきたからそっち行け。ルナは……膝の上?構わないが、落ちるなよ?


「ん?確定で強い?誰なんだ、それ?」

「あれ、リツ兄さん。届いてきた名簿見なかったんですか?」


名簿………あぁ、なんかマーリンが寺子屋(学院か)に行かせるから見とけとか言って渡してきたあれか。

はて、どこに置いたか……。


「にぃ、これ」

「お、ありがとう」


アリスから名簿を受け取り、一通り読み取る。


………う〜ん。


「ね?スペシャル。強い人多い」

「まぁ、強いは強いが……」

「「?」」


さて、これは言ってもいいものなのか?

おそらくとんでもないことになる予感が……。


あるじが何を迷っているのかは分かるけど、行ってしまった方がいいと思うよ?』


…………まぁ、後々のちのち分かる事だから言ってしまうか。



「あー、ここに載ってる彼らなんだが、もう戦ったことがある」



「「…………え?」」

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