第43話 - 谷の戦い

チュタが急いだ。


「何してるんだ。 ミラベル。早くテシエスをなくせ。 今度も失敗すれば君の命はない。」


ミラベルがあざ笑った。


「いつもそう言うだけで、いざ私を殺すこともできないことが。」


チュタは長い鞭でラミの首を巻いた。


「うわっ!」


「ラミ!」


「これはどういうことだ! チュタ!やめろ!」


チュタが卑劣な笑みを浮かべた。


「この人間の女のせいで躊躇するなら、私が障害物をなくしてあげる。 ミラベル!よく見ておけ。」


鞭を振るとラミが宙に浮いた。

ミラベルは急いでラミに向かって飛んでいった。


「ラミ!」


気が急になったテシエスが推打を溶かしてしまおうと集中すると、半人半馬たちが後ろから現れ、魔族の頭巾をかぶせてしまい目を覆ってしまった。


ミラベルはラミを抱いて無事に岩の上に着地した。

セルフェは半人半馬にものすごい火炎攻撃を浴びせ,地面が落ちた。

半人半馬たちはほとんど全滅した。


セルフェはテシエスの頭巾を脱ごうとしたが,何か変だった。

魔族の頭巾がテシエスの神聖さを吸収し,彼女の首にしっかりとくっついていた。


「いや!まさか! 頭巾が神聖力を吸収している! はがれない!」


それを聞いて急いで飛んできたシュピー。


「神と魔でもない私の魔法なら解けるかもしれない。」


その時シュピーの細い腕をつかんだチュタ。


「何だよ!これ妖精じゃん。 妖精の魔法でもだめだ。」


セルフェがあっという間に岩の上にシュピーを投げたチュタ。


「この頭巾はシグラ王なら脱げるかもしれない。 しかしあいつは目が覚めないでいるよ。 ハハハ。」


チュタはシュピーを踏もうと前足を上げた。


「シュピー!」


ロンド王子が駆けつけてチュタの前足を剣で切った。

チュタは歯ぎしりしながらロンド王子を槍で叩きつけた。

重い重さに耐えて防いだロンド王子。


頭から血を流し翼が砕けているシュピー。


セルフェはシュピーに高度な回復魔法をかけながら言った。


「シュピー!ここにじっとしてて。 ロンド王子と私が勝手にするから。」


「私は大丈夫です。 セルフェ。テシエスを早く手に入れなければなりません。 神聖力をすべて奪われると彼女は死ぬかもしれません。」


セルフェの魔法で傷が癒され、翼が回復したシュピーをシャイルン王国の魔法使いたちに任せてテシエスの状態を見た。

「テシエス、しっかりしろ。 テシエス。」


テシエスは神聖な力を奪われないように必死だった。

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