第42話 - ミラベルを乾かすラミ姫

午後までラミはぼんやりと空だけを眺めていた。


‘「元気でね」とだけ言って、次に会おうとは言わなかった。 いつまた会えるかな? ああ、どうして私の初恋はこんなに悲劇的なんだろう? 心が痛い。’


「 ああ。」


テシエスが普段らしくなく嘆き、テーブルに伏せるラミ姫を見て不思議に思った。



テシエスはシグラ王が目覚め続けなかったのでとても心配していた。


シャイルン王国の魔法使いたちとセルフェは、王国の深い谷に流れる神聖な水を王に飲ませるべきだと意見をまとめた。


それで、テシエスとセルフェとロンド王子とラミ姫とシュピー、何人かの魔法使いたちと兵士たちが一緒にラルンというその谷に向かった。


テシエスと一行は馬に乗って行った。

山を越えてまた越えてやっとラルン渓谷にたどり着いた一行。

苔がいっぱい生えた大きな岩があり、初めて見る木々が茂っていた。

周りには小さな動物さえ見えなかった。

涼しく流れる音が聞こえるだけで、周りは静かで神秘的だった。


テシエスが瓶に水を入れようとしていた時だった。

強風が吹き、岩が割れ、木々は根こそぎ飛んでいった。

魔法使いたちが結界して一行は無事だった。


「テシエスがこの遠いところまで来るなんて、私たちにとってとても良い機会だね。 シグラ王はまだ昏睡状態だなんて、とてもよかった。」


ミラベルは岩の上に腕を組んで立ち,一行を見下ろしていた。

チュタと半人半馬たちがミラベルの後ろから姿を現した。

ミラベルはラミを見た。

テシエスは叫んだ。


「ミラベル!」


ミラベルがテシエスに飛びついた。

テシエスが黄金色の目でミラベルを溶かしてしまおうとしたが、ミラベルは集中する暇を与えずに額に手をつけようとした。


パッ!


セルフェはミラベルの腕をつかんで呪文を唱えた。


「神聖な水よ! この者を束縛して浄化させろ!」


ラルン渓谷の神聖な水がぱっと伸びてきて、ミラベルを巻き込もうとした。

ミラベルは避け、セルフェと一行はテシエスを取り囲んだ。

ミラベルの腕をラルンの水が巻きつけ、シュウーと水蒸気が立ち上って蒸発した。

ひどくやけどした腕はすぐ正常に戻った。


「神聖力は私にとって相克だからね。 でも私の体は強いから、すぐ元に戻る。」


ミラベルは腕をふるって余裕まで見せた。

ミラベルは笑みを浮かべ、一瞬瞳が光っているように見えたが、魔法使いたちと兵士たちを倒し、セルフェ、ロンド王子、シュピーまで非常に速いスピードで追い抜いてしまった。

ラミ姫がテシエスの前を塞ぎ、ミラベルは立ち止まった。


「ダメ!ミラベル。 これは正しいことではない。」


ミラベルは冷たい目つきで激しく打ち上げた。


「どけ、ラミ。私の邪魔をしたら君でも大目に見てくれない。」


「やめろって! あなたが本当に望むことではないでしょう! あなたがテシエスを殺すなら、私はあなたを許さないよ。」


ラミの切ない言葉にミラベルは眉をひそめた。

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