第32話 - シグラ王とミラベルの決闘

シグラ王は娘の姿を見下ろしていた。

彼はため息をついた。


「変わった友達のせいでうるさいね。 特にあの大魔法使いによってテシエスの将来にトラブルが起きないといいのですが。 彼を見た時に見た幻想が現実に現れないでほしい。」


テシエスが戻ってきた日。

セルフェから幻想を見た。

テシエスが広い空の真ん中に縛られていて、遠くの誰かが長い窓を持って彼女に向かって突進していた。

大魔法使いの姿に戻ったセルフェだった。

テシエスを刺したセルフェ。

愛する娘はそのように空から果てしなく離れていった。


幻想を振り返りながら心配していたシグラ王が突然魔族の気配を感じた。


「魔族?いや、これはもっと強烈な感じ。 ミラベルだ!」


シグラ王が城の塔に瞬間移動した。

それと同時に床で闇の通路が開かれ、ミラベルが頭から姿を現した。

ミラベルは黒い髪を飛ばしながら、体をこちらに向けた。

シグラ王の目がミラベルと合った。


‘テシエスのような黄金色の瞳! しかし、感じは違う。’


ものすごい魔力を放つミラベルはシグラ王を見て微笑んだ。


「これはどなたですか? チュタに耳をつんざくほど聞いたシグラ·フィル·ティラス·ロシエール王ではないか? この身を迎えに来たのか?」


シグラ王は恐ろしい表情で言った。


「ミラベル!敵陣の真ん中に飛び込むなんて度胸がいいね。 生まれて20日も経っていないのに、もうそれだけ育ったのはチュタがそうしてくれたのか?」


「そうだ。チュタの短気で赤ん坊の私を見過ごすことができないと言って、私が生まれて1時間で17歳のこの姿にしてくれた。 おかげで私はあなたの娘のように裕福な子供時代を過ごすことができなかった。 しかし、それが何の関係があるの? こんなに早く育った方がもっといいんだから。 ところで、あなたの娘はどこにいるの?」


ミラベルはシグラ王の鼻の前に顔を近づけて尋ねた。


「私の娘のことは口にするな!」


シグラ王が素早くミラベルの胸に右手を当てると、長い光の窓が手から伸びてそのまま突き抜けてしまった。

ミラベルの胸の真ん中に刺さった槍は、彼の背後から丸い形に広がり、あっという間に全身を覆った。

シグラ王はミラベルを閉じ込めた光のボールに右手を当てて叫んだ。


「レハラアーチス! 神聖な力よ! ここに!」


区に向かって光の流れが集まり、区の大きさがあっという間に小さくなり、最初から消えて轟音を立ててものすごい爆発を起こした。

神聖な力の爆発だったため、塔や周辺に被害を与えず、ミラベルだけに大きな打撃を与えた。

凝集した神聖な力の攻撃を受けたミラベルの体はほとんど溶けてしまい、湯気が立ち上った。

にもかかわらず、平然としたミラベルはにやりと笑った。

ミラベルの体が再生し始めた。

10秒も経たないうちにまっすぐ立っているミラベル。


「やっぱり魔の結晶体だね。」


王がつぶやいた。

ミラベルは笑いながらシグラ王に飛びついた。


「神聖な力だって? じゃあ、これはどう?」


ミラベルの体が黒ヒョウに変わり、四方に長く伸びていった。

数本に伸びたミラベルの体は、シグラ王を激しく追い詰めた。

壁に追い込まれたシグラ王。

恐ろしく燃え上がるミラベルの目。

彼はシグラ王を身動きできないようにぐるぐる巻き、喉をかむために口を大きく開けた。

噛まれると闇に浸食されてしまうのだ。

しかし、いつも冷静さを失わないシグラ王は、より強力な呪文を唱えた。


「レハララビナリミル! 光になろう!」


胸にものすごい苦痛を感じ、あっという間に本来の姿に戻ったミラベルは、全身に食い込む光を避けようともがきながら悲鳴を上げた。


「うわっ!」


明るい光があっという間に広がり、戦いが起きたことを知って駆けつけた人々が皆目を隠した。

光はシャイルン王国の外からも見えた。


陰気なアドリベル王国の空間移動鏡からこっそり抜け出したミラベルの体は燃えていた。

闇の反対性質である光が全身を燃やしているためだった。

ミラベルが歯ぎしりをした。


「シグラ·フィル·ティラス·ロシエール! お前この野郎! 次に会う時はお前の最後の日だと思え!」

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