第31話 - シュピー, セルフェ
まぶしい日差しが照りつける朝。
さわやかな緑が茂り、露がきらきらと日光に反射し、きれいな花々が咲いている美しい庭園だった。
噴水が涼しげに水を噴き出し、美しい虹を作り出していた。
そこにセルフェが座って天上の楽器リケルを演奏していた。
美しい旋律が城の隅々に広がり、その音楽を聞いた人たちは気分が良くなった。女性たちが一人二人集まってセルフェの周りに座った。
テシエスとラミは白い布が山盛りのかごを持って通り過ぎ、その光景を見た。
彼らはシャイルンの戦士たちを助けている。
セルフェの白い髪は太陽の光を浴びてまぶしく輝いていた。
青い服のセルフェは周りの美しい風景とよく調和し、とても素敵に見えた。
テシエスは知らないうちにセルフェから目を離すことができなかった。
セルフェは突然演奏していた手を止め,テシエスを見て立ち上がって彼女を見た。
しばらく二人は静かに向かい合っていた。
テシエスはラミの言葉にすっかり気がついた。
「ほら、セルフェ。 その楽器はどうやって演奏できるの? 記憶が少し戻ったようだね?」
いつものように帰ってきたセルフェは笑った。
「城の中を歩き回ってこのリケルを見たんだけど、演奏する方法が思い浮かんで一度演奏してみたの。 記憶が戻るのを見ると、昨日陛下が石版の封印を少し弱くしてくださったのが効果があったようだ。」
ラミは昨日のことを思い出してにやりと笑った。
「陛下のことで反対もできず隅で怒った。 シュピー、あいつ。ところで、どうしてセルフェの 封印を解けないんだ?」
「何か理由があると思う……。」
テシエスは答え,セルフェを見るのが恥ずかしくて急いで建物の中に入った。
「テシエス。どうしてそんなに急いでるの? 一緒に行こう。」
セルフェがそんな彼女たちを眺めていたら、周りにいた女性たちがまた演奏してほしいとせがんだ。
「セルフェ様、また聞かせてください。」
「はい、セルフェ様。 本当に美しい演奏でした。」
「リケルがそんなに上手な人は初めて見ました。」
「やっぱり大魔法使いのセルフェ様ですね。」
「ハハ。そんなに立派ではなかったのに......。」
その時、シュピーが突然現れ両腕をむやみに振り回し、近くにいた女性たちを皆追い出した。
「きゃあ!」
女性たちは皆逃げ出し、シュピーは驚いてどうしていいか分からず立っているセルフェを振り向いてにらんだ。
「じゃ、私もこれで……。」
セルフェが振り向いて行こうとしたが、シュピーが飛んできて魔法で攻撃を浴びせた。
「いや!またか?」
理由も知らずにやられているセルフェではなかった。
怒ったセルフェも大魔法使いだっただけに、強力な魔法で対抗した。
ドンドン! ドンドン!
ぱあん!
シャイルン族の戦士に剣術を教えていたロンド王子が、騒々しい爆発音のする方を振り返った。
「おっとっと。シュピーがセルフェをまた苦しめているね。 一体あの妖精どうしたんだ?」
聞いても返事もしないし。」
濃い煙の中でセルフェはめちゃくちゃに座っていた。
記憶が少ししか戻らなくて魔法を完璧に使うことはできなかった。
「ごほんごほん。」
煙で咳をするセルフェ。
シュピーが煙を突き破って素早く飛んできて、セルフェの頭に手をつけようとした瞬間。
テシエスはいつの間にかセルフェの前に現れ,シュピーの両手を塞いだ。
「テシエス、何? 早くどいて。」
「シュピー、今セルフェの封印をもう一度強くしようとしたんだよね?」
「知らないから聞くの?」
「そんなことをしたら私が許さない。 忘れてないよね? あなたは私とラミにまだ罰を受けていないことを。」
シュピーはその言葉にぞっとした。
そして、振り向くとラミもシュピーを見下ろして拳をこすりながら両目を燃やしていた。
シュピーは両手をどかして黙って向こうにシャシャーク逃げた。
「セルフェ、大丈夫?」
テシエスはセルフェを起こして尋ねた。
「記憶が少し戻ってきましたが、また封印されそうになりました。」
「もう君に近づけないよ。」
テシエスが建物の壊れた部分を直すために両腕を上げた時だった。
3人の大臣たちが駆けつけて言った。
「お姫様。これは私たちの力でも十分です。 旅行から帰ってきてから、まだ休憩も取れていないので、力を節約するようにしてください。」
「ありがとう。」
テシエスはにっこりと笑った。
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