第21話 - 聞き分けはするが言葉が通じない
その夜、みんな小屋でぐっすり寝ていた。
しばらくして目を覚ましたセルフェは外に出て夜空を見上げた。
美しい星が降り出しそうだった。
「あ……」
セルフェは突然めまいを感じた。
「数億の星よ、そのきらびやかさを私に。」
目の前が真っ暗になった。
時間が経ってから。
セルフェは草の上で倒れていることに気づいた。
「私が今何を言ったの? 私がどうして倒れたんだろう?」
ふと横を見ると、子供がそばに座ってセルフェを心配そうにのぞいていた。
セルフェは立ち上がって笑った。
「私は大丈夫。坊や。 テシエス様に会って人になってから私も知らないことをたまに言うんだよ。 おそらく白馬である前の自分の姿だと思う。」
ちびっ子がにっこりと笑った。
「クアラルフムプク?(白馬って何ですか?) 」
セルフェはその奇妙で奇妙な言語を理解することができなかったが、もしかしたら言葉が通じるかもしれないと思った。
「ちび。私の名前はセルフェだよ。」
セルフェは自分を指差して話し,その後子供の反応を見た。
子供は前歯をむき出しにして静かに笑った。
「カルペ。(名前がセルフェですね。)」
とセルフェの胸を突いた。
「そうじゃなくて、セ、ル、フェ。」
「セ、ル、フェ。」
「そうだよ、セルフェ。もう一度言ってみろ。」
「カルペ。(セルフェ。)」
「はあ、やめよう。 君の名前を聞いても聞き取れないよね?」
子供は目を大きく開けて自分を指差した。
「グアナラ。」
「え?お前の名前がグアナラだって?」
ちびっ子がこくりこくりとうなずいた。
「クックルル。」
「グク何て?とにかくお前の名前が グアナラってことだよね?」
ちびっ子がこくりこくりとうなずいた。
「ロルポンギ。」
セルフェはズボンをはたいて立ち上がった。
「坊や。君が何を言っているのか到底聞き取れない。」
その時、小屋の門がぱっと開くとおばさんが叫んだ。
「グアナラ クックルル ロルポンギ! ケナポン カルロロ! (グアナラ クックルル ロルポンギ! 眠らない何してんだ!)」
ちびっ子がびっくりして答えた。
「パ!(はい!) 」
おばさんが子供の耳を引っ張りながら家の中に引きずり込んだ。セルフェは爆笑した。
「それがあの子の名前だったんだ。 長いこともある。」
セルフェは丸太に座り,空を見上げた。
数多くの星の中にひときわ輝く星があった。
「あの大きな星はまるで美しいテシエス様のように輝いているんだな。」
セルフェはあたりを見回した。
「誰も聞いていないだろう。」
セルフェはテシエスに初めて会った時のことを思い出した。
泣いていたテシエス。
吸い込まれそうな黄金色の瞳が宝石のように輝いていた。
風に飛ばされると風のささやきが聞こえそうな長い空色の髪。
そして、冒険をしながら感じた、セルフェ自身を大切にしてくれる穏やかな人柄と神秘に包まれた背景。
セルフェはきらめく星を見ながらつぶやいた。
「 テシエス……様。 」
キーッ。
突然小屋のドアが開く音がすると、セルフェは驚いて振り返った。
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