第18話 - すべてに勝つ金色の瞳

「ラミ、忘れたんだね? いくら魔法に対抗する武器を作っても、結局私に勝てないということを。」


「相手を見るだけでも何でも好きなようにできる君の黄金色の瞳の力に本当にたくさんやられた。 この剣は結局その力も阻むだろう。 かかってこい!テシエス!」


「私は戦いたくないとはっきり言った。 私に勝つには力不足だ。」


ラミ姫の剣にテシエスの空色の髪が少し切られた。


「ラミ!やめたくないならもう金色の瞳の力を使うしかない!」


テシエスは目を見開いた。




「あっ!」


ラミ姫の悲鳴。

テシエスの黄金色の瞳から噴き出した眩しい光が周囲を覆い、見守っていたセルフェとロンド王子とイェニは目を閉じてしまった。



セルフェとロンド王子は月桂樹の木を見ながら言った。


「テシエス様が勝ったんですね。 姫がこれ以上面倒をかけないでしょう?」


「テシエス。とても神秘的な力だね。 何でもその気になればできるなんて。」


廃墟の高い柱に座っているテシエスは笑いながら言った。


「これは魔法ではありません。 私だけの力です。」


緑の葉が生い茂る背の高い月桂樹から人の声が聞こえた。


「早く元に戻せ! テシエス!」


月桂樹の柱に樹皮で薄く覆われたラミの顔がぴくぴくしていた。

テシエスは月桂樹の前にそっと着地した。

彼女は美しい五色の輝く涙を浮かべながら言った。


「ラミ、あなたがもっと早く私を追いかけるのをやめていたら、私はここまでしなかっただろう。これ以上追いかけないなら、1年後に解放してあげる。」


ラミは顔をしかめてしばらくじっとしてから言った。


「姫の名誉をかけて必ず約束を守る。」


「いいよ。」


テシエスが月桂樹をじっと眺めると、ラミ姫はあっという間に再び人に戻った。


「君の黄金色の瞳には到底かなわないんだから。」


ラミ姫はマントのしわを広げながら不平を言った。


テシエスは言った。


「500年間お父さんに会えなかったから心配するだろう。 そして、故郷に何かあったような気 がする。 急いで故郷のシャイルン王国に戻らなければならない。」


セルフェはテシエスに言った。


「テシエス様、故郷に行くんですって? 私も一緒に行きましょう。 テシエス様の行くところはどこにでもついていきます。」


ロンド王子も咳払いをして、


「シャイルン王国だって? 神様と最も似た種族が住んでいるところだが。 では、テシエスもその種族だということですか?」


テシエスは微笑んだ。


「いいえ、私は神様が特別に作った存在です。 その次はシャイルン王国の王であり、私の養父であるシグラフィル·ティラス·ロシエールさんが育ててくれました。」


「ああ、そうだったんだ。 テシエス。私も行ってもいいですか? あなたの故郷シャイルン王国は本当に美しいと聞きましたが。」


「もちろんです。みんなで行きましょう。 お父さんも歓迎してくれます。 ラミ、君も一緒に行こう。 私の故郷がどんなところなのかとても気になっていたじゃないか。」


片手を腰について不満そうに立っていたラミがその言葉を聞いてしばらく考え、


「そうだね。君がそう言うなら、一緒に行ってあげるよ。 どんなところなのか見たいから。」


とあっさり言った。


テシエスは明るく微笑んで言った。


「みんなシャイルン王国に招待します。」


セルフェは興奮してぴょんぴょん跳ねて,ロンド王子はその姿を見て笑っていた。

ラミ姫はつんつんした表情で腕を組んで立っていた。

朝日が昇る空にイェニが黒い龍になって果物かごを持って飛び回っていた。

イェニはロンド王子が教えてくれた東の一番高い山に行き、そこで伝説のオオカミと再会する。 イェニを見抜いた伝説のオオカミは彼女を抱き締め、2人は結婚して長く幸せに暮らしたという。

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