第12話 - 敗北した黒い竜

龍がテシエスを追いかけて走り回った。

龍の重さのせいで床がどんどんと震えた。

慌ててあちこち走り回っているセルフェ。


「テシエス様!こういう時は どんな魔法を使うんですか?」


「いろんな魔法。」


テシエスは火を噴き出しながら暴れる龍の前に立った。


「テシエス様!気をつけてください!」


龍は口から火の玉を吐き出し、テシエスはそれらをすべて氷柱にして龍の口に一度に詰め込んだ。

竜の強い歯でぽかぽかと氷を砕いてしまった。

口から噴き出した途方もない大きさの火矢をテシエスに狙った。

テシエスが素早く避けて龍を狙うのが難しかった。

龍はテシエスの動きが止まる時を狙った。

テシエスは大理石の柱に登り,目を輝かせ,微笑んだ。

セルフェはその姿を見た。



「あっ!」


その刹那を逃さない龍が弓弦を引いた。

炎はテシエスに向かって飛んだ。

テシエスのマントが飛び散り、炎矢がマントを破ることができず、数分間対峙していたが、結局氷になって床に落ちた。


「ちぇっ!」


龍は口から火を噴き出し、両手でその火を触って巨大な槍で長くしてテシエスに向かって突進した。

テシエスは呪文を唱え、手から長い光の窓が出てきた。

光の槍を持って龍に向かって勇猛に飛び込むテシエス。

大柄な竜と小柄なテシエス。

その二人の窓の先がぶつかり、ものすごい轟音とともに爆発が起きた。

歯を食いしばった龍の顔が光に覆われ、微笑んでいるテシエスも光に覆われた。

驚いた目のセルフェも光の中に入った。


どかん!


デュタワーの最上階の半分が爆発した。


竜は倒れており、テシエスは折れた光の槍を持って立っていた。

光の窓はジジジッと放電していた。

セルフェが走ってきた。

テシエスは光の窓を取り除いた。


玉座に座っていたラミ姫が隣の部屋のドンドンといううるさい音に頭を上げた。


「どういうこと? もしかしてイェニが龍に変わったのかな?」


にやりと卑劣な笑みを浮かべるラミ。

「フフ。どんなに最強の魔法使いだとしても、龍に変わったイェニにはかなわないよね?

テシエスの最後なんだね。」


長い鎖に縛られているロンド王子が叫んだ。


「テシエスは龍なんかでも決して負けない。」


「ロンド王子。それは見ないと分からない。」


その時、壁ががらんと崩れ、黒い龍がふらついて姫と王子のいる部屋に入ってきて倒れた。

その後ろにはテスエスとセルフェが立っていた。


ラミ姫は竜を見て情けないように言った。


「イェニ、任せろと大口をたたくのはいつで、それは何だ?」


「テシエスと白髪が思ったより強すぎる。」


龍が歯ぎしりして立ち上がろうとした。

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