第10話 - 狼のキスかそれとも人工呼吸か?

テシエスとセルフェはロボットの莫大な攻撃を退けながらデュタワーの頂上に向かった。

セルフェは魔法を使えば使うほど強くなり、高い段階の魔法も使うことができた。

大きなハンマーとペンチを持った巨大なロボットが突然上からバン!と降りてきた。

廊下が粉々に砕け散り、破片やほこりも膨大に広がった。

いきなりハンマーでテシエスを叩きつけた。


「テシエス様!」


ロボットはハンマーを持った。

ハンマーの面が丸く掘られていた。

テシエスは丸い保護膜で身を包んだのだ。

ハンマーを叩いた瞬間、その保護膜のせいで面が凹んだのだ。

ハンマーを投げ捨てたロボットはテシエスに飛びついた。

テシエスの目から光彩が輝き、巨大ロボットは走ってきた姿勢そのまま石に変わってしまった。

廊下の左側からトングロボットが突然現れた。


「いよいよ私の番が来たんだ! 私の力を見せてやる!」


セルフェは素早くロボットの頭の上に上がった。


「ルハル·リザーマ! 君の本来の姿に戻れ!」


トングロボットはぶる震え、ガタと音を立てながら小さな部品が飛び出し始めた。

すぐにロボットが分解して座り込んでしまった。

テシエスはねじとボルトを避けて叫んだ。


「魔法をもう少し柔らかく使うようにしなさい。」


セルフェはとても気分が良くてにこにこした。


「今その魔法習ったことないんですが、腕いいですよね?」


ボルトがテシエスの頭に軽く当たって跳ね返った。

テシエスは頭をなでながら考えた。


「やっぱりセルフェは白馬じゃないみたい。」


いよいよデュタワーの頂上にたどり着いたテシエスとセルフェ。

テシエスは大きなドアを開けた。

バン!

広いホールの真ん中に、少女がフルーツバスケットを持って立っていた。

テシエスは言った。


「お前は誰だ? ラミ姫はどこにいるの?」



少女が目を覚ました。


「お前がテシエスだろ? 私の名前はイェニ。 ラミ姫の友人だ。 お前らはここをこれ以上通れない。」


テシエスは首をかしげた。


「イェニ?イェニだって? 500年前に聞いた名前だけど? あ!伝説のオオカミがキスしたという。」


セルフェが気になっていた。


「伝説のオオカミですか?」


「伝説のオオカミは100年ごとに真実の愛を求めて人間の姿で人間界に降りてくるが、花嫁を決めると彼女にキスをするという。ところで、溺れたイェニを助けて人工呼吸をしたの。 そして、何も言わずに消えたのに、その後見た人がいないんだって。 それがキスだ、違うと今まで口数が多いんだ。」


イェニは頭のてっぺんまで怒り出した。


「うるさい!それは単に人工呼吸にすぎない! そのオオカミが本当の愛であるはずがない!」


セルフェにささやくテシエス。


「だから、イェニは傷ついたの。 自分を花嫁に選んだのかはっきりせずに消えてしまって。 イェニも意外とオオカミを気に入っていたんだ。 キスしたという事実を認めたくなくなったんだ。」


「 黙れ! 」


火山が爆発するかのように怒りがこみ上げてきたイェニは果物かごからリンゴを取り,2人に力いっぱい投げた。


リンゴは途方もない爆発を起こし、ホール全体が揺れた。


「りんご爆弾だ!」

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