第2話 蘭からの別れ

「…なんで?」


 誕生日の次の日。


 剣の低い声がスタバに響いた。


「大学、京都なの」


「だから?」


「剣ちゃん、北海道でしょ?距離、ありすぎるよ」


「俺が京都、行けばいい」


「そんなのだめ!…私は、私の道を行くから、剣ちゃんも、自分の道をしっかり歩いて」


「なんでだよ!遠距離恋愛してる奴なんていっぱいいるだろ!?」


「ダメになるからだよ…」


「蘭が俺に劣等感抱いてるのは…何となく分かってた。でも…」


「違う。違うよ。ダメになるのは、剣ちゃんの方。いつも合わせて、いつも気を使って、いつも周りの視線を気にしてるのは、剣ちゃんの方だよ?」


「…!」


「私は、大丈夫だから。今までありがとう。おじさまとおばさまにもよろしくね。…バイバイ…剣ちゃん」


「蘭!」


 蘭は、涙を必死で堪え、剣を置き去りに、出て行った。その後、剣が、どんなに連絡を取ろうとしても叶う事はなかった。




 ☆☆☆☆☆



「あら、剣君じゃない!久しぶりねぇ」


「お久しぶりです。大学、卒業して、こっちで就職したんです。だから、ご挨拶をと…」


 剣は、あの蘭の別れ話以来、蘭に会うことは無かった。剣は、増々大人っぽくなって、頼りになる大人の男に成長していた。


「あ…の…蘭さんは…何処に就職…されたんですか?」


「東京よ。確か何社か内定もらって、自分が一番やりがいのある会社に内定もらったから、絶対頑張るんだって、張り切ってたわ」


「そう…ですか。あ、じゃあ、失礼します」



 ☆☆☆☆☆



「蘭…ここ、山口県だぞ?東京って…」


 蘭からの別れをどうして受け入れたのか…。剣は、後悔しかなかった。

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