第173話 約束を果たす男
アイテムボックスにヤツに対抗する手段が有った。
ゴルドの貿易商からせしめた
〈魔導銃〉宇宙光線銃バージョンだ。
まさか、使うことに成るとは…
アイテムボックスからオモチャっぽい銃を取り出し、
魔法なら打ち出せるらしいので、手始めにマジックシールドを構えて大木から出て、ヤツに一撃ぶっ放つ。
松下の魔導ライフルも火を吹き、俺のマジックシールドを直撃する。
マジックシールドで威力が軽減されるが、俺の籠手が弾け飛ぶ…
一瞬、左手が丸ごと飛んだかとビビったが、籠手の留め具に当たって粉砕したらしく、見た目よりも左手にダメージは無かった。
ヤツの一撃は俺から装備を1つ奪うが、
俺の一撃はヤツの視界を奪った。
そう、光魔法のフラッシュを鼻先に打ち込んでやった。
吹っ飛ばされてしまったが、起き上がり、反撃する時間は十分作れた。
「くぁぁぁ!目がぁぁぁぁぁぁ!!」
と辛そうにしている松下だが、片目を押さえるだけで、もう片方は見えている様だった、
〈しまった、照準合わす為に片目を瞑っていたか!〉
精度は落ちるが俺を狙い撃ってくる松下に、
「痛いが我慢しろよ!」
と忠告して、魔導銃でヤツの腕を狙い〈光魔法のホーリーレイ〉を放つ、
光線銃から放たれたレイザービームは松下の腕を吹き飛ばした。
〈えぇ~…思ってた威力よりエグイ。〉
「ぐわぁぁぁぁ!」
片腕が無くなり、もがき苦しむ松下に、
「歯ぁ食いしばれぇぇぇぇぇ!!」
と叫びながら、〈呪解〉を込めた〈全力〉パンチを〈松下〉の顔面に打ち込む。
青白い光に照らされた〈黒いモヤ〉を残して、松下本体が後ろにフッ飛ばされる。
モヤは光に照らされ消えて無くなり、
松下は千切れた右腕と顔面のどちらを庇うか整理出来ない状態で、地べたで芋虫の様に成っている。
そして、鼻血ダラダラと流しながら、
「パイセン!殺す気か?!」
と、わめく松下に俺は、
「今のは、お前に殺された俺の可愛い従魔の分だ有り難く貰っとけ!」
と言ってアイテムボックスからエクストラポーションを取り出して、
松下の前歯の無くなってる口に突っ込む、
ついでに〈クリーン〉をかけてやり復活を待つ…
「何だよ、宇宙戦争みたいな武器を使いやがって…」
と文句を言えるまで回復し、腕の生えた松下に、
「ようこそ異世界へ、マヨネーズ王国は君たちを歓迎する。
が、しかし、やらかした事には責任を持とうか?
スタンピードの鎮圧もだけど、〈竜人〉の解放が先だ、
手伝え!」
と俺がいうと、
「んだよ、ジジィからパイセンに、
こき使われる相手が変わっただけじゃねーの?」
と文句を言っているので、
「無事に済んだら、今日は王国皆で〈カレーパーティー〉の予定だ。
食いたいなら働け
と俺が言うと、
松下は、
「アイツらも一緒か?」
と〈竜人〉を指差す、
「勿論だ、おかわり自由だぞ。」
と答えると、
魔導銃をアイテムボックスにしまい、走りだす松下が、
「しゃーねぇーな、俺が押さえるからその隙に!」
と言って残り少ない奴隷紋持ちに駆け寄る、
残り十人程度に成ったが、将棋の様に解放した〈竜人〉が仲間になり、
勢力が増えて、呪解のスピードが加速する。
〈一時間も経っていない筈だか、半日以上戦った感じがする…〉
殺さずに戦う事の難しさを身に沁みて感じた。
〈竜人〉達は元は〈魔族〉でアドラとメレクの知り合いもいた。
男性だけではなく女性も居て、
「ほぼ裸の姿で恥ずかしい。」
と訴えたのでシーツとロープで応急処置をお願いし、貫頭衣の様にして着てもらった。
〈後程、クララさんチームに洋服は発注するとして、〉
漆黒のドラゴンだが…
「誰か、この中であのドラゴンについて知ってる人いる?」
と俺が質問をすると、
〈竜人〉の一人が手を上げた。
「元は、魔王陛下のペットのブラックドラゴンでしたが、生きたまま素材を剥ぎ取られ、エクストラポーションで復活させては、また剥ぎ取られ…を繰り返し、
あの研究者三人や人全体を呪う様になり、その呪いを力に変える実験と言って、出撃前に沢山の呪物を錬金術で体と合成された、
〈カースドラゴン〉と研究者達が呼んでいました。」
と教えてくれた。
体全体が呪いだから、奴隷紋くらいでは制御出来ずに、足に取り付けた強力な呪具で無理やり命令を聞かせているらしいが、命令以外は興味のない死んだ心のドラゴンに成っているらしい…
何ともやるせない…
助けてやりたいが、助けれるだろうか?
呪いの塊のドラゴンに
呪解一発では無理だろう…
先ずは足の〈呪具〉を壊す所からだな。
テオを召喚して、パパン達を呼んでもらう。
ドラグーン達にゴンドラを出して〈竜人〉達を中間地点の医務室まで移動したが、
岩山が幾つも出来て、ビックドリルが、何十も大地に突き刺さり、
尚も、岩の雨が降り注いでいた。
中間地点に戻り、
〈念話レッドキャップ〉で各員に連絡を取る。
〈皆、どうだ?〉
との俺の問いに、
ノーラ騎士団長・ガルド騎士団長・レクター司令官・ペータ親方バリアー隊長から返事が来る、
死者はないが、落ちている岩をはね飛ばす攻撃で怪我人はでたが〈ライフヒール〉や〈ハイポーション〉で回復済み、
大型・中型共に、ほぼ討伐完了しており、
穴の下の小型はそのまま放置でも大丈夫だろうとの判断だった。
〈では、中間地点のガルド隊は側面バリスタ隊を残して、後方の本部迄退避、
レクター司令官の指示で魔導砲台の用意、射程に入り次第に、黒いドラゴンのヤツの足の輪っかを狙って下さい。
ノーラ隊は岩補充して、回収可能なビックドリルも回収して、
手が空いた人から休憩してください。
あと2~3時間で呪いの塊のカースドラゴンが到着します。
足を止めたあと、呪解を試しますが、無理そうなら討伐します。〉
と指示を出した。
アドラとメレクは泣きながら〈竜人〉達を迎え入れて食事を振る舞っている。
できれば、あのドラゴンにも笑って飯を食わしてやりたい…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます