第151話 エクストラの価値を知った男
ドラグーンにゴンドラ握らせ、
北に向かうのだが、
子供達を気遣い、あまり無理をせずにゆっくりとした日程で進む、
移動中にゴンドラの中で〈ケルト〉さんと〈マギー〉さんに〈リール家〉について話してもらった。
エトナ王国は火山地帯を有する、鉱山と鍛治が盛んな、帝国でも比較的裕福な場所で、
リール伯爵領は、
〈ほぼミスリル鉱山だけの領地に三百人程度の規模の町のみ〉
の鉱山と鉱山関係者の小領だったらしい。
しかし、比較的裕福な国の中でも極めてミスリルで潤っていた領地のリール領に目をつけた〈ロッカ侯爵〉から、侯爵一派に入って〈資金提供〉をするように迫られたが、
領主の〈ビック・ド・リール伯爵〉は、これを突っぱねたらしい。
すると、ある日スタンピードが町を襲い、それに合わせて乗り込んで来たロッカ侯爵軍に、領主邸の人間は捕まり、騎士団は殺されるか、利き腕を切り落とされたのち捕まったのだという。
領主は家族達が人質に取られたのを見て、
〈家族や領民をこれ以上殺さぬのならば言う通りにする。〉
と宣言し、
何かの魔術契約のかかった書類にサインをした後に殺されてしまった。
と…
〈ロッカ侯爵は簡易スタンピードメーカーを使って何の罪もない人を…許せない。〉
そして、〈マギー〉さん達の担当をしていた兵士たちが、
〈魔術契約でミスリル鉱山の権利を正式に手に入れたので、お前らを殺す事が出来ない。
他国の商人に売るから、死ぬなら売られた後しろよ。〉
と言われたことを話してくれた。
〈なんて事を…
帝国はデカ過ぎて管理が緩いのか?
エトナの偉いさんも何やってんのよ…
帝国の偉いさんにも、文句が言いたいし、情報ギルドに相談するかな…〉
等と考えながら、3日をかけて山ネズミ大量虐殺チームと合流した。
予定より早く帰ってきた上に、大人数で戻ってきたので、ブルー達が驚いていたが、
事の経緯を説明すると三人とも納得してくれた。
山ネズミ狩りは予定より数日少なかったが、十分な成果が得られたので、今回は終了として、
三人にパパンとテオを預けて、
3つのゴンドラの輸送を頼んだ。
俺は、
「一度帝都に向かい、リール家と魔族組の身の回りの物の買い物と、情報ギルドに今回の相談に行く。」
と告げてから、
皆と別れて帝都に向かった。
子供達が、居るのでブルー達もゆっくりとした日程で拠点に向かうから、数日かかったとしても直ぐに追い付くだろう。
俺は、いつもの様に帝都近くの山にサンを降ろし、
鞍を外してからサンを送喚した。
そして、〈バンバ〉を召喚して、アイテムボックスから鞍を出してバンバに装着し、パカポコと帝都まで移動する。
さすがに街の近くに〈バトルホース〉に喧嘩を売る魔物も盗賊も居ない、
バンバを見て恐れずに向かって来るのは、余程の強者か、余程の馬鹿ぐらいだ。
帝都に着くなり向かったのは、錬金ギルド直営のポーションショップだ。
流石に片腕では騎士は厳しいだろうから、〈エクストラポーション〉を買いに来たのだが…
正直値段を知らない。
前回のベンさんの時は、
どうしても作りたい錬金術師さんに無理を言って、素材と依頼料と合わせて一本交換してもらったので、エクストラポーションの価値が解らなかったが…
…大金貨60枚…二本で120枚…一億二千万円。
変な汗が出る。
足りない、退職金の残りと地竜の売却を合わせて大金貨90枚あまりしか無い…
いや、90枚以上も有るのだが、全く足りない。
そして、暫く考えて閃いた、
〈キラーマーリン〉売っちゃえば何とかなるかも…
と、帝都の冒険者ギルド来て窓口に並ぶ。
順番が来て職員の女性に、
「買い取りお願いしたいのですが?」
とギルドカードを差し出しながら告げると、
職員さんに、
「少量ならばここで精算致しますが、
大量ならば奥の買い取り専用カウンターに、この番号札を持って移動をお願いします。」
と言われたが、とてもカウンターには乗らない。
「すいません、カウンターに乗らないヤツですので…」
と俺がいうと。
職員さんは、
「アイテムボックス持ちの方でしたか。
丸ごとの魔物でしたら解体場にご案内しますが…
ちなみに、買い取りご希望の魔物は?」
と聞かれたので、
俺は、
「キラーマーリンです。」
と答えた。
「へっ?」
と聞き返す職員さんに、
「キラーマーリンです。」
と再度答えると、
「えぇぇぇぇぇぇぇ!」
と叫ばれた。
〈ビックリするわ!いきなり何?〉
緊急事態かと職員さんが集まると、
担当していた女性職員さんが、
「ギ、ギルドマスターに連絡と、
解体場に場所を開けてくれと連絡して、
ランクは〈S〉の対応で!
もう一人確認の為に解体場に着いてきて!!」
と指示を出した後に、
俺のギルドカードを確認して、
「ユウ様、解体場までお願いします。」
と言われ、連行される。
あぁ、何かのイベントが発生しましたよ…
面倒臭いなぁ。
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